
震災などの非常時のために食料の備蓄はしていても、トイレの準備までしている人は少ないかもしれない。具体的な備えについて、専門家に聞いた。
断水・停電したら、水洗トイレは大量の水を流し込まないと流れないため、利用が難しい。東急ハンズで売られている段ボール式簡易トイレは価格が4千円弱。「便器」にビニール袋を入れ、用を足し、凝固剤で固めて捨てる。凝固材は別売りもある。
「震災時は、新聞紙や紙おむつを使っていた例もあった」
と話すのは、宮城県の災害医療コーディネーターで東北大学教授の石井正医師だ。当時の過酷な状況を踏まえ、感染症対策として、汚物に直接触れないことが大原則とし、
「庭がある家はいっそ穴を掘ったほうがいい」
とアドバイスする。
ただトイレについては、「個人で対応するには限界がある」として、東京のような大都市の場合、平常時から公園などに、下水に直結するマンホールを掘っておき、災害時はトイレとして使えるよう、行政は備えておくべきではと提案する。
※AERA 2013年7月8日号