保育の現場に、男性保育士は増えてきた。とはいえ、その数はいまだに全体の3.4%。理不尽な「女尊男卑」に苦しむ男性保育士は多い。

 男性保育士は保育の現場に着実に進出しているが、それでも「男性」というだけで変な目で見られることは少なくない。

「ロリコンでしょう」

 公立保育園に勤務する男性保育士のBさん(35)は、違う仕事をしている仲間と飲んだりする時、そう言われることがある。

「酒の席だし、飲んだ勢いで相手が冗談で言っているのはわかります。だけど、正直悔しいですし、そう言われること自体、残念です」

 かといって、ムキになって打ち消すと逆に疑われかねない。否定も肯定もせず黙っているのだという。

 男性保育士の女子園児への扱いについて、明確なルールはない。各園が、場当たり的に対応しているのが現状だ。Bさんは、職場では「自己防衛」で対処している。

 オムツ交換が必要になった時は、園児と2人だけの空間ではせず、周りに同僚がいることを確認してから行う。園から指示されたわけでも、保護者から言われたわけでもない。あらぬ疑いをかけられるのを避けるために、自然と身についた術だという。

 他にも、

「むやみに抱いたり、膝の上に座らせないなどしています」(29歳)
「女子園児にシャワーをしなければならない時は、周りの同僚に声をかけてわかるようにしています」(45歳)

 などの「防衛策」を取る男性保育士は多い。

AERA 2013年6月17日号