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「誰得?」意識の「払わない男」が増殖中

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 男女が二人で食事に行けば男性が払うもの、というのは一昔前の常識のようだ。若い世代の消費行動に詳しい博報堂ブランドデザイン若者研究所のリーダー、原田曜平さん曰く、

「今も男性が多めに払うのが多数派ですが、割り勘や時に女の子が払う場合も増えてきているのは間違いないでしょう」

 信じたくはないが、実際取材を始めてみると「払わない男」がいるわいるわ……。

 営業職のヨウコさん(45)は数年前を振り返った。当時の彼は31歳で8歳年下。取引先の人だった。

「年齢が合えば、ヨウコさんみたいな人と結婚したいんです」

 仲間内で何度となく飲みに行っていた時、そんな言葉も聞いていた。みんなで盛り上がる中、彼が肉好きだと判明。「いい店知ってるよ」と言うと、「いいですね」という反応。初めて2人で食事に行くことになった。

 彼の年収は自分より300万円くらい低いだろうと推測できたが、東大卒でスポーツ万能。婚活中だったヨウコさんは、彼がよければつき合ってもいい、と思っていた。

 ところが、だ。いざ会計になって困惑した。伝票は予約した彼女のほうに回ってきたので支払ったものの、彼は臆することなく言い放った。

「ごちそうさまです」

 一人1万円ちょっとだった。

「確かに店の相談をせずに予約したのは悪いと思いました。でも、せめて財布を出す素振りくらい見せてほしかった。私は財布か。釈然としなかったんですよね」

 店を出ると夜11時。彼は「そろそろ電車がなくなりますね」と、お茶一杯ごちそうすることなく去っていった。

 現代の若者はコスパ意識が強い──。電通若者研究部の研究員、吉田将英さんによると、さとり世代と言われる20代前半までの若者がよく使う言葉が、「誰得?」。誰にとって得になるのか、損得勘定が強く見返り志向。モテたいがために女性を高級レストランに連れて行ったり、食事代を払ったりするようなハングリーさは減ってきている。

「今はモノに恵まれ、無料で楽しめることがたくさんあり、インターネットですぐに人ともつながれる。情報さえ簡単に手に入る。すると、これはあり得ない、これはムダとすべての発想が引き算になりがちです」

AERA 2013年5月27日号


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