フェイスブックへの強力な対抗馬となる日本発の無料通話アプリ「LINE」。4月の取材時で利用者数は世界で約2500万人。それが今年1月18日には1億人の大台を突破するなど、爆発的に増えている。

「本当のところを言うと、昨年内に1億人達成を目標にかかげていましたが、18日ほど遅れてしまいました」

 とネットサービスを展開するNHNジャパン執行役員で、LINEの事業戦略を担当する舛田淳さん言うが、11年6月にスタートして19カ月での1億人突破は、フェイスブックやツイッターをはるかに凌ぐスピードだ。

 LINEはネット回線を利用した無料通話で、スマートフォンでアプリをダウンロードしたら、誰でも利用できる。登録したユーザー同士であれば無料で通話でき、メッセージも送れる。携帯電話キャリアに関係なく無料で使えるわかりやすさと、チャットのような気軽さがウケてヒットした。

 日本発のアプリだが、最初に火がついたのは、中東地域だった。その後アジア地域を経て、昨秋にはスペインで突如、利用者が急増。すると、スペイン語圏のチリ、アルゼンチンといった南米に一気に広がった。

 ただ、欧州や北米といった地域への展開はこれからだ。『LINE なぜ若者たちは無料通話&メールに飛びついたのか?』の共著者で、デジタルコンテンツに詳しいジャーナリストのまつもとあつしさんは、こう分析する。

「欧州などではダウンロード数が70億以上に達した『Whats AppMessenger』というLINEと似たアプリが市場を先行している。米国では携帯電話料金を従量課金制にしているキャリアがほとんど。定額制ではないので、無料通話アプリが成立する余地はありません。プリペイド制が中心のアジア圏など、日本で成功した手法がそのまま通用しない国々へどう入り込むのかがカギです」

AERA 2013年2月4日号