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英看護師自殺 英豪世論の激しい応酬

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 重症のつわりでロンドンのキング・エドワード7世病院に入院したキャサリン妃(30)。
12月6日に退院したが、慶事に水を差す痛ましい出来事が起きた。

 ことの起こりは4日午前5時半ごろ、オーストラリア・シドニーのラジオ局「2DayFM」から病院にかかってきた偽電話だ。DJ2人がエリザベス女王などの声をまねて「孫娘の具合はどう?」と問い、妃と話したいと告げたのだ。

 電話を受けた看護師のジャシンサ・サルダナさん(46)は、妃が入院中の病棟に電話を転送。電話を受けた別の看護師が、「妃はよくお休みになっています。入院時はひどい脱水状態でいらっしゃいました」などと、病状を詳しく説明。このやりとりが放送され、ひと騒動となった。

 電話から3日後の7日早朝、サルダナさんは看護師用の寮で意識がない状態で発見され、その後、死亡が確認された。

 豪州で行われた緊急世論調査では、「偽電話はただのジョーク」とDJに同情的な意見は27%にとどまり、「あまりに悪趣味」が61%を占めた。大手スーパーなどが同局からコマーシャルを引き揚げた。

 これに対し、ラジオ局側は「偽電話はラジオ文化の一部豪メディアも「まるで魔女狩りだ」と反論した。

 豪州世論が反転したのは10日、DJたちが沈黙を破って地元テレビ局の取材に応じた後だ。クリスチャンさんは「胸が張り裂けそうだ」と声を絞り出し、グレイグさんは涙をぬぐいながら「遺族に謝罪したい。このような結果になるとは全く予想していなかった」と言葉を詰まらせた。その後の調査では、「2人を責めるべきではない」が68%に達した。

 これに対し、英国では怒りが再燃。「ラジオ局を閉鎖せよ」と、両国間で激しい応酬が続いた。その後ラジオ局は、病院が立ち上げるサルダナさんの名を冠した基金への寄付を表明、全額を遺族が受け取るという。
豪州はかつて英国の植民地で、エリザベス女王を元首たる国王と仰ぐが、国内には名実ともに独立を主張する運動も活発だ。英国としても、豪州に反英の機運が高まるのは避けたい。英メディアは、「軽い気持ちのおふざけがとんでもない結果を招くことを私たちも学ぶべきだ」と冷静な対応を呼びかけている。

AERA 2012年12月24日号


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