氷に降りた時は足が震えたというが、気後れをまったく感じさせない演技だった。ソウル郊外の練習施設「テルン選手村」でトレーニングを再開、グッと体も絞り、ベストの体重で試合に臨んだ (c)朝日新聞社@@写禁
氷に降りた時は足が震えたというが、気後れをまったく感じさせない演技だった。ソウル郊外の練習施設「テルン選手村」でトレーニングを再開、グッと体も絞り、ベストの体重で試合に臨んだ (c)朝日新聞社@@写禁

 バンクーバー五輪で金メダルを獲得したキム・ヨナ(韓国)が復帰に向けてついに動き出した。

 現役復帰にあたり、一昨年に練習していたアメリカではなく、ソウルに拠点を移した。コーチに選んだのは、小学校の頃に3回転ジャンプを習ったシン・ヘスク。

 シンコーチは韓国スケート連盟の最高指導者賞を受賞している名コーチ。以前、

「子どもの頃からヨナはジャンプの天才。初めて3回転フリップを教えた日に『2回転と同じように跳んで、空中でもっと強く身体を締めて』と教えただけで成功させたんです」

 と冗談めかして話していたが、キムのジャンプの才能を確立させた人物である。

 振付師はバンクーバー五輪と同じ、デビッド・ウィルソン。ウィルソンは「07年にトロントに来たときのヨナは、無表情でつまらない子。3年かけて女優のような演技ができる女性に育った」と語っており、キムの表現力には欠かせない。今季、ショートの曲は「キス・オブ・ザ・バンパイア」、フリーは「レ・ミゼラブル」で、それぞれ登場人物を感情豊かに表現するタイプのプログラムを振り付けた。

 キムは13年3月の世界選手権で再び世界の舞台に立つ。

AERA 2012年12月24号