最近、音楽を聞いていますか?



 社団法人日本レコード協会の発表によると、1998年に4924億円だった12cmCDの生産額は、2009年には2119億円にまで低下。では、ネット配信に移行したのかといえば、同協会の発表による09年のシングル、アルバム、音楽動画配信などネット配信の売上総額は、約900億円に留まっています。そのため、CDとネット配信を合わせても約3000億円で、98年のCD生産額に遠く及びません。



 一方、パッケージゲームソフト、すなわちお店で売っているゲームソフトにも同様の傾向が表れています。2011年、全世界で224億ドルだったパッケージゲームソフトの市場規模は、翌年には184億ドルにまで急落。2017年には131億ドルに縮小するのではないかと、予測されています(出典:International Development Group)。



 音楽、そしてゲームを取り巻く急激な時代の変化。これから、音楽産業はどんどんと縮小を続け、パッケージゲームソフトは市場から消えてなくなってしまうのでしょうか?



 ジャーナリストの津田大介さんと音楽プロデューサーの牧村憲一さんは書籍『未来型サバイバル音楽論』での対談で、インターネットの普及によりミュージシャンとファンの垣根は取り払われたことに言及。さらに、ヒップホップアーティストの□□□(クチロロ)がファンに対して動画撮影・Ustream中継を解禁するライブを行ったことにも触れています。



 ライブ会場に行くと、大抵の場合は「撮影禁止」の張り紙がありますが、ファンからの撮影・中継によって、ライブに行けなかった別のファンが「『やはりライブに行きたい』と次回のライブに足を運ぶ」メリットがあるそうです。アーティストにとって、音源だけで収入を得るのが難しくなっている今、ライブ、さらにそこで行われる物販などで新たな収入源を確保すべき、と津田さん、牧村さんは主張しています。



 こうした流れはゲームにもいえるそう。



 家庭用ゲーム機のプレイステーション・オフィシャルサイトには、津田さんのインタビュー記事を掲載。音楽ではITを駆使することで、以前よりも制作・プロモーションのコストが下がっていますが、それはゲームも同じなのだとか。そのため、個人や小規模の制作チームがつくる「インディーズゲーム」も出現しています。



 また、□□□がファンによるライブ中継を解禁したのと同様の動きといえるのが、プレイステーション4に搭載された「シェア機能」。ゲーム自体のシェアだけでなく、プレイヤーの実況音声を重ねたいわゆる「ゲーム実況」も共有できる機能です。ゲーム実況は版権面での問題が取り沙汰されることもありますが、公式的な機能が導入されたのは、画期的といえるのではないでしょうか。この点について、津田さんは「開発者じゃなくて遊ぶ側が主役になる」とし、音楽でいうところの、「セカンド・サマー・オブ・ラブ」(80年代にイギリスで起きた、大手レコード会社でなくDJとファン主体の「レイブ」が盛んに行われたムーブメント)と同様の現象が起こっていると解説しています。



 音楽にしろゲームにしろ、それを良いものにしていくには、われわれ消費者の「共有」が必要なのかもしれません。





【関連リンク】

津田大介が語る インディーズゲームのクリエイティビティと可能性(プレイステーション・オフィシャルサイト)

http://www.jp.playstation.com/cp/topics/2014112601.html