千葉県では昨年11月以降、県内いくつかのコンビニエンスストアの駐車場に警察官OBが待機所を設置したところ、コンビニ周辺で窃盗などの犯罪が減ったそうです。また最近では、介護事業者と提携するコンビニも出てくるなど、コンビニの新しい活用方法に注目が集まっています。



 そんな進化するコンビニについて、「くまモン」の生みの親である小山薫堂氏も、自著『じぶんリセット』の中で、自身のアイディアを提案しています。



 ひとつはコンビニ+街頭テレビ。



 テレビが高級品だったその昔、各家庭にテレビがなかったことから、街頭テレビが人気を博していました。一つの番組を皆で観戦するというスタイルは、ひとつのコミュニティを生む場となっていました。そんな街頭テレビをコンビニに導入することで、出会う場、つながる場としての機能を持つことができるというのです。



 イメージとしては、いわゆるパブリックビューイングに近いものでしょう。皆でサッカー観戦や野球観戦をすることで、コンビニが商品を買う場だけでなく、出会いの場となるのです。



「なぜ、このようなことを思いついたかというと、今の時代というのは、テレビにしてもスマホにしてもそうですが、映像や画像を見たりするのも、どんどん"個"の時代になっているからです。でも、野球やサッカーだけでなく、バラエティ番組にしても誰かと一緒に観たほうが楽しいはずです。なぜなら、人の歓声や笑い声というものは、周囲に自然とつくられてしまうものですからね」(本書より)



 また、小山氏は自身のある体験から、別の案についても語ります。



 以前、北海道に滞在した時のこと。食後に酒を飲みたくなった小山氏はホテルの人に問い合わせたところ、「このあたりには飲み屋がない」とバッサリ。そんなはずはないだろうと、車に乗って探したものの、何十キロ走っても何も見つからなかったそうです。



 結局、見つかったのは一軒のコンビニだけ。そこには、幸運にも「酒」との看板が。「もう、ここにしよう!」と入店し、あろうことか店長に「ここで飲んでいっていいですか?」と聞いたところ、「お客さんが来ないからいいですよ」とまさかの快諾。小山さん、なんと"コンビニ居酒屋"を始めてしまったのです。



「棚からビールやおつまみを取って、『はい、ビールとおつまみ』などと言いながら会計をして、しまいには、『店長、おでんちょうだい。じゃあ、これとこれ』なんて言いながらおでんを食べて、結局何だかんだ4時間くらいそのコンビニにいました。それはもう夢のような場所なわけで、コンビニが心地よい居酒屋に変身したのです」(本書より)



 結局、コンビニ内でシメのラーメン、そして、スイーツまでいただいたようですが、小山さんはその時の幸福感が凄かったと振り返ります。



 最近、吉野家の居酒屋「吉呑み」が話題になりましたが、小山氏が提案するように、コンビニと居酒屋がコラボするのも、そう遠い未来の話ではないのかもしれません。