対外安全保障情報局のアン君。ヴィンチェンツォを内偵するうちにいつしか…… Netflixオリジナルシリーズ『ヴィンチェンツォ』独占配信中
対外安全保障情報局のアン君。ヴィンチェンツォを内偵するうちにいつしか…… Netflixオリジナルシリーズ『ヴィンチェンツォ』独占配信中

 Netflixは配信サービスなので、「面白いよ」と聞いた時にいつでも第1話から視聴できるのが利点。本作は韓国での放送終了直後にNetflixで配信された。

「最終回の直前に、“早く見たいけれど見終わりたくはないそんな気持ちで待つ最終回”と、ツイッターで一首詠んでしまったほどです。最終回のあと、もう1周しました。『愛の不時着』は5周しましたけど(笑)」(俵さん)

 初めて韓国ドラマを見たのは「冬のソナタ」より前の1999年で、韓流や華流ドラマに詳しいライターの小田香さんは、本作の魅力をこう語る。

「社会や権力に対する怒りは韓国に限らず、どこにでもあると思うのですが、このドラマは毒をもって毒を制するストーリーで見ていてスカッとできます。韓国では『代理満足』と言うのですが、半沢直樹的な勧善懲悪の要素が幅広い年齢層にマッチしたのだと思います。脚本のパク・ジェボムは、『キム課長とソ理事』『熱血司祭』という勧善懲悪ものの作品を手掛けていて、『ヴィンチェンツォ』はその集大成のような位置づけだと感じました」

 監督はキム・ヒウォンで、美しい映像、主人公の心の機微を丁寧に描いた繊細な演出が特徴の女性監督として知られる。

「韓国ドラマでは男性監督と女性脚本家という組み合わせが圧倒的で、本作は珍しく逆パターン。ソン・ジュンギも記者会見で『男性の脚本家と女性監督のコンビで制作されたこのドラマは、新たなアプローチをもたらしています』と話し、本作に惹かれるきっかけになったそうです」(小田さん)

ヴィンチェンツォが“白馬の王子”として登場するところは、俵万智さんが大好きなシーンの一つ Netflixオリジナルシリーズ『ヴィンチェンツォ』独占配信中
ヴィンチェンツォが“白馬の王子”として登場するところは、俵万智さんが大好きなシーンの一つ Netflixオリジナルシリーズ『ヴィンチェンツォ』独占配信中

 俵さんをはじめとする多くの人が魅了されたのが、ヴィンチェンツォをはじめとする、個性的な登場人物たちだ。

「主役から脇役まで一人ひとりが揺るぎなさを持ちつつ変化を見せてくれるところがいいですね。好きな登場人物は対外安全保障情報局で、ヴィンチェンツォのことを調べるために潜入捜査をしたアン君です。コミカルでいて、誠実な人柄がにじみ出る演技がよかった」(俵さん)

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