天皇陛下の即位を披露するパレード「祝賀御列(おんれつ)の儀」が、11月10日午後3時から始まる。多くの人がこの世紀の瞬間を写真に収めたいと思いながらも、そのために高いカメラを買うのはちょっと……と思っているのではないだろうか。そこで本誌は、専門家とパレードのコースを事前に下見し、スマートフォンやデジタルカメラで撮影しても「映えそうな」場所を探した。今回はその中から厳選した8カ所を紹介する。

【プロが選んだ撮影ポイント(1)~(8)】写真つきの解説はこちら

皇居に入る天皇、皇后両陛下=2019年6月 (c)朝日新聞社
皇居に入る天皇、皇后両陛下=2019年6月 (c)朝日新聞社

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 パレードでは、天皇陛下はモーニング、皇后雅子さまはロングドレスにティアラと華やかな装いで臨む。車はオープンカー。窓際に見える一瞬を写すような難しさはなさそうだ。

「スマホや手軽なコンパクトカメラしか持っていない方でも、いくつかポイントを押さえれば、パレードを格好良く撮影することは十分可能ですよ」

 こう話すのは今回、撮影場所や方法を指導してもらった日本写真家協会理事の切大輔さん。スナップで街を切り取る作品も多く発表しており、アマチュアへの丁寧な指導に定評がある。

 下見では太陽の位置を考慮し、ほぼ同時刻にコースを回ってスマホで撮影した。ただし、当日のパレードの車列はすべて右側を走るため、掲載している写真の車との距離感はやや異なると想定していただきたい。

 皇居をスタートし、図のコースを時速10キロで走り、30分ほどで赤坂御所に到着する予定だ。

 最初の撮影ポイントは、(1)(2)の皇居外苑だ。

(1)皇居外苑/天皇陛下側で撮影。順光なので丸の内ビル群がきれいに映る (撮影/熊切大輔)
(1)皇居外苑/天皇陛下側で撮影。順光なので丸の内ビル群がきれいに映る (撮影/熊切大輔)

 陛下は右、雅子さまは左側に座るため、まずは沿道のどちらに並ぶのかをしっかりと決めておこう。

(2)皇居外苑/雅子さま側から撮影。おなじみの警視庁が映り込む。逆光に注意 (撮影/熊切大輔)
(2)皇居外苑/雅子さま側から撮影。おなじみの警視庁が映り込む。逆光に注意 (撮影/熊切大輔)

(2)のように、雅子さま側を選んだ場合は、午後3時ごろは逆光となるので注意が必要だと熊切さんは言う。

「普段、人間の目は光を補正して景色を見ますが、レンズは太陽など明るい光を拾いすぎてしまう。逆光の場合、人間の目で見るよりも写真は真っ黒になります。特にスマホはレンズがむき出しになっているので逆光に弱い。光の補正が難しいので、試し撮りで確認してください。曇りであれば逆にいいですが」

 ちなみに、徳仁天皇は皇太子時代から「晴れ男」で有名だ。

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