「FFX歌舞伎」は公演が終了し、現在オンライン配信中。10月31日(火)まで、TBSチケット、ローチケLIVE STREAMING、Rakuten TV、U-NEXT、e+(イープラス)で見られる。前・後編通しチケット4400円ほか各種配信視聴チケットあり(税込み、視聴期間は購入から10日間)。撮影:引地信彦 (c)SQUARE ENIX/『新作歌舞伎 ファイナルファンタジーX』製作委員会(FFX歌舞伎)
「FFX歌舞伎」は公演が終了し、現在オンライン配信中。10月31日(火)まで、TBSチケット、ローチケLIVE STREAMING、Rakuten TV、U-NEXT、e+(イープラス)で見られる。前・後編通しチケット4400円ほか各種配信視聴チケットあり(税込み、視聴期間は購入から10日間)。撮影:引地信彦 (c)SQUARE ENIX/『新作歌舞伎 ファイナルファンタジーX』製作委員会(FFX歌舞伎)

「お互いを思い合って諦めない前向きな姿勢や、さまざまな親子の情など、古典歌舞伎との親和性を感じました。何よりも、原作を大切にしようという思いを持ったプロフェッショナルが集結したチームで作ることができたのはよかったです」

 過去には、演出に蜷川幸雄さんを迎えた『NINAGAWA十二夜』や宮城聰さん演出の『極付印度伝 マハーバーラタ戦記』、『風の谷のナウシカ』など、積極的に新作歌舞伎を手掛けてきた菊之助さんは、歌舞伎界の名門・音羽屋の歴史を担う立場でもある。脈々と受け継がれてきた古典歌舞伎を守りつつ、新作にも挑戦するのはなぜか?

「歌舞伎の先人たちは、当時の人々の生き方や、時事的なことを敏感に察知しながら新作を作り、それが練られて古典になっていきました。私たちはその恩恵にあずかっているのですが、あずかるだけでなく、“傾(かぶ)く”という精神を受け継いで新作歌舞伎を作り、次世代に伝えていくことも大事だと思っています。だから私は、古典、新作、そして今は演じられなくなった古典の復活という3本柱を大切にしていきたいと思っています」

 現在、歌舞伎座で5月2日に初日を迎える「團菊祭五月大歌舞伎」の稽古に入っている菊之助さん。河竹黙阿弥作の「梅雨小袖昔八丈 髪結新三」で、江戸の小悪党・髪結新三を演じる。

「團菊祭は九代目市川團十郎さんと五代目尾上菊五郎の功績をたたえる興行で、今年は歌舞伎座新開場10周年。さらには五代目菊五郎没後120年、河竹黙阿弥没後130年、『髪結新三』初演から150年という、色々なことが重なる節目です。音羽屋にとって大事な演目ですし、しっかり勤めたいです」

 この演目は、江戸から明治にかけての混乱期が舞台。市井の人々が江戸情緒を残しつつも、生き抜くさまをリアルに描いている。髪結新三は野心家で、なんとかのし上がろうと悪事に手を染める。

 菊之助さんは本公演で、前口上(舞台から観客に直接述べること)を設ける予定だという。

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