植田和男日銀新総裁の就任は金融相場にどんな影響を与えるのか。金融のプロたちが、黒田東彦体制の評価から新体制への期待を明かした。参加者は以下の通り。

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■座談会の参加者■

A:国内証券プロップトレーダー。40代男性。地場証券に始まり、銀行系証券、ネット証券などを渡り歩いて現職。株だけでなく、為替、先物、オプションも扱う全マーケットに精通したトレーダー

B:国内運用会社トレーダー。40代男性。複数の国内証券会社の調査部を渡り歩いた後、バイサイド(運用)に転職。マーケット分析に定評あり。顔が広く、業界事情にも精通している

C:サラリーマン投資家。50代男性。投資歴30年以上。個別株から先物、FX、不動産、ビットコインにまで投資する雑食系投資家。数億円の資産を有し、2022年の投資成績は+1千万円

D:外資系証券セールストレーダー。日本株担当の40代男性。外資系証券を渡り歩いた経験から業界内で顔が広く、顧客は海外の大口機関投資家ばかり。仕事が多忙を極めているため転職を思案中

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──10年続いた黒田東彦体制が終わり、植田和男・東京大学名誉教授が日銀新総裁に就任しました。

A:4月10日の新総裁就任会見では、黒田東彦前総裁が進めてきたイールドカーブ・コントロール(YCC=長短金利操作)政策とマイナス金利政策について、いずれも「継続が適当」という見解を示して黒田路線の継承をアピールしました。その後、マーケットでは円売りドル買いが進んだので、為替や債券トレーダーは肩透かしを食らったかたちでしょうね。株式市場にとってはポジティブでした。

B:でも、就任会見でいきなり、「金融政策の正常化」を打ち出すことのほうがありえないですよね。最初から路線変更すれば、マーケットは疑心暗鬼になって混乱する。そう考えると、注目は4月27、28日の日銀金融政策決定会合ですが、“本命”は6月でしょう。ここで、長期金利を低く抑え込むYCCの撤廃、ないし10年債利回りの誘導目標を引き上げるだろうと予想する人が多い。

C:YCCの撤廃はそんなに早いんですか?

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