岸田文雄首相
岸田文雄首相

 支持率の上昇傾向に上機嫌だという岸田文雄首相。その頭の中には「早期解散」、さらには「改憲発議」をも見据えた長期政権構築への仰天プランがあるという。「ハト派」と思われていた男は、この国をどこに進ませようとしているのか──。

【画像】虎視眈々と復権を狙う議員がこちら

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 首相が持つ「伝家の宝刀」とも言えるのが衆議院の解散権。その解散・総選挙の時期をめぐり、永田町では「5月のサミット後、6月にも解散するのではないか」という観測が飛び交っている。

 この間の岸田首相の動きも、思わせぶりだ。3月14日に官邸で茂木敏充幹事長と会談後、自民党本部に場所を移し、今度は森山裕選挙対策委員長と会談。翌15日、自民党の事務方トップの元宿仁・事務総長と会食をした辺りで、与野党に「いよいよ解散か」という空気が漂ったという。

 森山選対委員長は「サミットから来秋の総裁選までに必ず解散する」と煙に巻くが、3月31日夜には自民党の麻生太郎副総裁が岸田首相の名代として“政敵”である菅義偉前首相と東京都内の日本料理店で会食。さらに岸田首相は4月3日、菅氏と連携する二階俊博元幹事長と党本部で会談した。関係者によると、同席した二階派の林幹雄元幹事長代理が「6月の今国会会期末までに衆院を解散するとの観測が報じられている」と話を向けると、首相は「それはマスコミに聞いてみないとわからない」ととぼけたという。

 自民党関係者が語る。

「岸田首相の本音は『増税の議論が始まる前に絶対に解散したい』。これは不動の信念のようです。当初は8月の内閣改造で、総務省の行政文書についての『捏造』発言などが問題視された高市早苗経済安保担当相を閣外に放出、ウマが合わない茂木幹事長も切って、イメージチェンジした上で解散するシナリオだった。衆院選に大勝して来秋の総裁選は無投票に。計6年の超長期政権を築く絵図を描いていた。しかし、解散の時期は計画より早まる可能性もある」

 強気の背景は、支持率が回復傾向にあることだ。朝日新聞社が3月18、19日に実施した世論調査では、岸田内閣の支持率は40%で、前回2月の35%から5ポイント上昇。不支持率は50%で、前回の53%から3ポイント下がった。昨年12月には閣僚の辞任ドミノで支持率が31%まで下落したが、ここにきて上昇傾向に転じたようだ。岸田首相は「4月の支持率が楽しみだ」と周囲に吹聴しているという。

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