ズールとゴルゴサウルスの戦いを再現した復元骨格。所属=ロイヤルオンタリオ博物館(撮影/写真映像部・松永卓也)
ズールとゴルゴサウルスの戦いを再現した復元骨格。所属=ロイヤルオンタリオ博物館(撮影/写真映像部・松永卓也)

 頭骨から尾までそろい、鎧竜(よろいりゅう)史上最高の完全度といわれるアンキロサウルス類のズール・クルリヴァスタトル。カナダのロイヤルオンタリオ博物館に鎮座し、同館以外で公開されたことはないという貴重な実物化石が、東京・上野の国立科学博物館にやって来た。

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 白亜紀後期のもので、全長約6m。長さ3mの尾の先に、推定7キログラムの棍棒を持つ。クルリヴァスタトルとはラテン語で脛(すね)の破壊者という意味。これを振り回し、襲ってくる肉食恐竜の脚を打ち砕いたと推測され、肉食恐竜ゴルゴサウルスと戦う復元骨格も展示されている。アンキロサウルスをモデルにした怪獣アンギラスは、映画「ゴジラの逆襲」(1955年)でゴジラに敗れたが、この戦法を使えば逆襲も可能?

「恐竜博2023」(6月18日まで)では、他にティラノサウルス「タイソン」の全身骨格(一部実物化石)も世界初公開中だ。(取材・文/本誌・菊地武顕)

週刊朝日  2023年4月7日号