※写真はイメージです (GettyImages)
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 短い文章でやりとりするLINEが日常に溶け込み、話すように使いこなす人も多いだろう。その半面、一言だけのメッセージが届いて面食らう人もいるかもしれない。その理由をひもといた。

【星野リゾートのチャットボットによる問い合わせイメージがこちら】

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 フリーライターの中村洋太さんは今夏、大学の後輩からLINEで「ワーホリ(ワーキングホリデー)行くならどこの国がおすすめですか?」というメッセージを受け取った。しかし、これでは条件や希望がわからず、返事に詰まってしまった。

 そのことを、中高生を教えている教員に話したところ、「一発で全部書くのではなく、相手が問い返してくれることを想定して、やりとりするつもりでいるんです」と指摘された。中村さんは「まさにチャット文化だ」と妙に腑に落ちた。

 この時に感じたことや考えたことを連続してツイートしたところ、約1万7千もの「いいね」がつき、反響を巻き起こした。中村さんが言う。

「反響の8割は『わかる!』『自分も同じような思いをしたことがある』といった、共感や同意などの好意的な意見でした。また、『こういう聞き方をする人は若者に限らず、大人でもいる』という意見も多く、世代間ギャップの違いだけではないとも感じました」

 その後輩は中村さんから「予算は?」「英語圏がいいの?」といった返事がきて、“会話”のやりとりを重ねるうちに、おすすめの場所を見つけるという目的を果たそうとするつもりだったのかもしれない。一方、受け手の中村さんは、この漠然とした問いかけに違和感を持った。

「情報が少なすぎて答えづらいだけでなく、雑な聞き方によって、『自分が蔑ろにされている』『配慮が足りない』などと感じてしまったからかな、と思いました」

 中村さんは、もし自分が質問する側であれば、ワーホリに行く理由や条件を明記し、丁寧な文章を意識するだろう、と話す。しかし、そうすれば文章が長くなるため、チャットのような短文のやりとりにはそぐわない。

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