コウジ・エバラードさん。LAの工房で(写真はいずれも本人提供)
コウジ・エバラードさん。LAの工房で(写真はいずれも本人提供)

 平日は経営コンサルタントとして米国内を飛び回り、週末は自宅のあるロサンゼルスで陶芸活動に勤しむ「職人」がいる。

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 コウジ・エバラードさん(25)はかつて、英国の名門大学、オックスフォード大学への進学を蹴り、またその後に進学したハーバード大学を休学した。それらの理由のすべては「陶芸への熱情」にあったという。

「練習を積めば積むほど上達する。陶芸の技能を磨くためには『近道』はなく、ただ時間と経験を積むしかない。ストイックであることが求められることが、逆に性にあったのかもしれません」

 エバラードさんは陶芸の魅力に引き込まれた背景をこのように語った。

 東京育ちの英国人と日本人のハーフ。大学を昨年卒業し、現在は米国・ロサンゼルス在住で大手経営コンサルタント会社に勤務している。平日はクライアントの事務所に詰める生活だが、週末など余暇がある時は陶芸スタジオにこもり、ろくろと窯に向き合っている。

 陶芸との出会い、それは意外にも日本ではなく、高校時代を過ごしたロサンゼルスが原点となる。当時通っていた高校のアート教科の必須科目でダンス、パフォーミングアーツ、コーラス、絵画などと選択肢があった中で、3Dアートのクラスを選択したのがきっかけだ。このクラスの中で「ろくろ入門」なるカリキュラムが含まれていたのだ。

「高校入学当初は陸上やローイング(漕艇)といったスポーツ系の部活にハマっていたので、アート系に関しては全く興味がありませんでした」

 出会いは意図したものではなかったが、蓋(ふた)を開けるとエバラードさんの性格に陶芸は見事に合致して、後にハマってしまったという。

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オックスフォード大進学を辞め、陶芸の道へ