西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱する帯津良一(おびつ・りょういち)氏。老化に身を任せながら、よりよく老いる「ナイス・エイジング」を説く。今回のテーマは「『コロナ不調』について」。

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【対策】ポイント

(1)交感神経と副交感神経のバランスが悪くて不調になる

(2)副交感神経アップにはマスクをはずして呼吸法を実践

(3)交感神経にブレーキをかけるには情報無視と鈍感力

 コロナを気にしながら生活するようになって、すでに3年目。このコロナ生活になじんできたようにも見えますが、私の周りには、「コロナには感染していないが、どうも体調が悪くなった」と嘆く人が少なくありません。今回はこの「コロナ不調」について考えてみました。

 体調を考える時に重要になるのが、自律神経のバランスです。自律神経には交感神経と副交感神経があり、この二つがちょうどいい働きをする必要があります。しかしコロナが始まってから、この二つのバランスを崩している人が多いように思うのです。

 ただでさえ、現代人の生活では、交感神経が過剰に働きがちです。かつてないほどの情報化社会で生活しているため、常に飛び込んでくる様々な情報に交感神経が反応してしまうのです。また、都市で暮らすことによるストレスも昔の比ではありません。様々なストレスにさらされ、交感神経は興奮してしまいます。

 コロナはこの傾向に拍車をかけています。世の中には、心配させ、不安がらせるコロナに関する情報があふれています。さらに、感染予防のために気にしなければならないことがたくさんあって、その一つひとつがストレスです。こうした状況では、放っておくと、交感神経が副交感神経よりも、どんどん優位になってしまいます。この対策には二つ方法があります。一つは副交感神経を引き上げて、交感神経に追いつかせること。もう一つは交感神経そのものにブレーキをかけることです。

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帯津良一

帯津良一

帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など著書多数。本誌連載をまとめた「ボケないヒント」(祥伝社黄金文庫)が発売中

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