春風亭一之輔・落語家
春風亭一之輔・落語家

 落語家・春風亭一之輔氏が週刊朝日で連載中のコラム「ああ、それ私よく知ってます。」。今週のお題は「アイスクリーム」。

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 コロナになりました。喉の痛みを感じ、抗原検査で陽性。PCRで再び陽性。即、自宅療養です。しばらくすると熱、咳も出てきました。ちょっとしんどい。

 もっとキツいのはその最中、仕事先への報告、お詫び、中止or延期の相談……やることが山ほどあります。独演会のキャンセルは心身ともに堪えます。年に一度しか行けない地方公演の中止は本当に申し訳なく感じております。沖縄、志木、長野……全国ツアーでまた必ずうかがいますのでお待ちください。

 私が隔離された翌日、発熱外来に行った家内も陽性で「ルームメイト」になりました。幸い子ども達は陰性だったので家事は任せることにし、半地下の寝室で夫婦二人の生活が始まりました。

 食事も最初は家内が細々とスマホで指示を出していましたが、何日か経つと子どもらに任せるように。時折「白飯」「出汁の利いてない味噌汁」「ハム2枚」とか「コッペパン」「レトルトのコンソメスープ」「コンビーフだけを炒めたモノ」など……明らかに刑務所飯みたいな時もありますが、一生懸命やってくれてるので感謝です。まぁ、まるで動いてないので腹も減らないしちょうどいいか。

 宅配便も置き配です。ちょうど御中元の時期、なにかしら頂けるのがありがたい。そうめん、ゼリー、鰻の蒲焼き真空パック、果物……療養中には助かる食材ばかり。(ゴディバのアイスクリームが届きました)とLINE。来ましたよ、我が家に救世主が! 翌日(昨日のゴディバを隔離部屋に二つおねがいします)とLINEする後、ドアをノックする音。「持ってきてやったぜ」の合図です。戸を開けると、ゴディバと明◯のスー◯ーカップが1個ずつ。??? (ゴディバ、どうした?)(セツヤク!)だそうです。◯ーパーカップ……普段なら大人な私はもうスルーするアイツ。◯より量のヤンチャな奴。自然な流れでゴディバが家内に、スーパー◯ップが私に。

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春風亭一之輔

春風亭一之輔

春風亭一之輔(しゅんぷうてい・いちのすけ)/落語家。1978年、千葉県生まれ。得意ネタは初天神、粗忽の釘、笠碁、欠伸指南など。趣味は程をわきまえた飲酒、映画・芝居鑑賞、徒歩による散策、喫茶店めぐり、洗濯。この連載をまとめたエッセー集『いちのすけのまくら』『まくらが来りて笛を吹く』『まくらの森の満開の下』(朝日新聞出版)が絶賛発売中。ぜひ!

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