石丸幹二(いしまる・かんじ)/ 1965年生まれ。愛媛県出身。87年、東京藝術大学音楽学部声楽科に入学。90年、劇団四季にてミュージカル「オペラ座の怪人」でデビュー。2007年退団。「題名のない音楽会」「ゲンキの時間」の司会のほか、近年の出演作に、「相棒Season20」、大河ドラマ「青天を衝け」、ミュージカル「蜘蛛女のキス」など。今夏から舞台「ハリー・ポッターと呪いの子」にハリー・ポッター役で出演(構成/長沢 明 撮影/写真映像部・加藤夏子 ヘアメイク/中島康平(UNVICIOUS) スタイリスト/土田拓郎)
石丸幹二(いしまる・かんじ)/ 1965年生まれ。愛媛県出身。87年、東京藝術大学音楽学部声楽科に入学。90年、劇団四季にてミュージカル「オペラ座の怪人」でデビュー。2007年退団。「題名のない音楽会」「ゲンキの時間」の司会のほか、近年の出演作に、「相棒Season20」、大河ドラマ「青天を衝け」、ミュージカル「蜘蛛女のキス」など。今夏から舞台「ハリー・ポッターと呪いの子」にハリー・ポッター役で出演(構成/長沢 明 撮影/写真映像部・加藤夏子 ヘアメイク/中島康平(UNVICIOUS) スタイリスト/土田拓郎)

 芝居に歌に演奏に司会と、マルチな才能を発揮する石丸幹二さん。最新出演映画「太陽とボレロ」を、「子どもの頃のすべての夢がかなった」と語る。その“楽しすぎた撮影体験”とは?

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 劇団四季を退団してからは、映像にも進出した。世間に広く認知されるようになったのは、「半沢直樹」(2013年)の浅野支店長役がきっかけだが、最近では、「相棒」のIT長者・加西役も印象深い。石丸さんが20年10月、「相棒Season19」に出演した際、ゲスト出演者のみならずスタッフにも気さくに声をかけ、いつも面白いエピソードで場を和ませてくれた水谷豊さんの人柄に惹かれた。

「Season19で、僕の出番が終わるときに、『またご一緒できたら嬉しいです』とご挨拶しました。すると『太陽とボレロ』という映画に声をかけていただけたんです。もう天にも昇る気持ちでした(笑)。しばらくして水谷さんがお書きになった台本の第1稿が送られてきたんですが、コロナの影響で、撮影期間が1年ずれてしまったんです。撮影のめどが立って、新しい台本をいただくと、そこには僕が演じる鶴間がサックスを吹くシーンまで書き加えられていて、なんて嬉しいんだろう、と。他にも、僕のいろんな性格を見抜いた上での人物造形がなされていました」

「太陽とボレロ」は、とある地方都市が舞台。長年活動してきたアマチュア交響楽団の解散が決まり、ラストコンサートに向けての人々の思いが交錯していく人間ドラマだ。

「鶴間は、アマチュア交響楽団の主宰者である、檀れいさん演じる理子を支える役です。台本ではすごく二枚目に描かれていて、クランクイン前は『監督は、僕をこんなふうに見てくださっていたのか』と感激しました。でも、いざ撮影に入ると、水谷さんのアイデアが溢れに溢れて(笑)。セリフには描かれていない、いろいろな心の動きを『こういうことをしながらしゃべってみて』とか、細かく指示を出しながら、実際に演じてくださった。結果として、鶴間はとても親しみのあるキャラクターになりました。現場ではお芝居に没頭しつつ、楽器を演奏することもできて、監督が水谷さん……。僕のすべての夢がかなったような作品になりました」

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