イラスト/ウノ・カマキリ
イラスト/ウノ・カマキリ

 現在、日本の多くの企業は定年が60歳である。ただし、収入は落ちるが希望すれば65歳までは働くことができる。

 だが、年金受給開始年齢が75歳ということになると、65歳以後の10年間、ビジネスパーソンたちは一体どうすればよいのか。

 企業が、さらに雇用期間を10年間延長するのは無理ではないのか。

 そこで、数年前から私は、問題意識を持つ与野党の国会議員たちと勉強会を行っている。テーマは、「日本人の人生設計を変えるにはどうすればよいのか」だ。

 多くの調査によると、現在の日本の大学生たちは就職活動のときに、倒産せず、そして給料がよく、残業が少ない企業を選ぶケースが多い、ということだ。

 一生をかけて、いったいどういう仕事がしたいのか、人生で何に打ち込みたいのか、と考える学生はあまり多くなさそうなのである。

 日本人の人生設計を変えるとなると、従来の日本の産業構造、そして日本的な経営を抜本的に改革しなければならなくなる。

 たとえば、日本的経営の基本である年功序列、終身雇用も60歳定年のままでは成立しない。日本人の人生設計を変えるには、経営者や政治家たちの意識そのものを改革しなければならないわけだ。

田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年生まれ。ジャーナリスト。東京12チャンネルを経て77年にフリーに。司会を務める「朝まで生テレビ!」は放送30年を超えた。『トランプ大統領で「戦後」は終わる』(角川新書)など著書多数

週刊朝日  2022年4月22日号

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田原総一朗

田原総一朗

田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年、滋賀県生まれ。60年、早稲田大学卒業後、岩波映画製作所に入社。64年、東京12チャンネル(現テレビ東京)に開局とともに入社。77年にフリーに。テレビ朝日系『朝まで生テレビ!』『サンデープロジェクト』でテレビジャーナリズムの新しい地平を拓く。98年、戦後の放送ジャーナリスト1人を選ぶ城戸又一賞を受賞。早稲田大学特命教授を歴任する(2017年3月まで)。 現在、「大隈塾」塾頭を務める。『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日系)、『激論!クロスファイア』(BS朝日)の司会をはじめ、テレビ・ラジオの出演多数

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