東京大学の安田講堂(左)と京都大学の時計台
東京大学の安田講堂(左)と京都大学の時計台

 一般選抜合格者の女子比率が19.8%と「2割の壁」を越えられていない東京大学。女子学生が少ない環境に、現役生や卒業生たちは「居心地の悪さ」など挙げているが、共通の課題を抱えている京都大学ではどうだろうか。

【京大・東大の学部別学生数(男女別)はこちら】

前編/東大女子「お断りサークル」はまだ実在? なお感じる「居心地の悪さ」】より続く

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 京大も、女子比率は東大とさほど変わらない。学部学生のうち女子の割合は、21年5月時点で22.1%。ちなみに「旧七帝大」と言われる他の国立大の女子比率は、大阪大33.7%▽名古屋大30.6%▽九州大29.1%▽北海道大28.8%▽東北大26.3%(いずれも21年5月時点)で、東大と京大はそれより低い。京大で特に低いのは東大同様に工学部で、その割合は1割を切る。

 女子学生を増やそうと、京大では現役の学生や大学教員が高校生たちとグループワーク形式で対話する「女子高生・車座フォーラム」や、現役の女子学生が母校を訪ね、在学生に大学の魅力を伝える「女子高生応援大使事業」といった取り組みを続ける。

 それでも、今年の入試で一般選抜合格者に占める女子の比率は20.5%。学内の男女比について、在学生やOGはどう感じているのだろう。

 この3月で総合人間学部を卒業し、4月から大学院地球環境学舎に進学する田中花音(かのん)さん(23)は「サークルの新歓飲み会に行ったときに、女子の少なさを実感しました。校舎の階によっては女子トイレがないことにも困りました」と話す一方、「日ごろの大学生活では男女比はそれほどは気にならなかった」と言う。

◆「おかしい」こと自ら変えられる

 総合人間学部の場合、文系と理系どちらの講義も用意され、「4年間、関心を持ったことを自由に学ぶことができた」と振り返る。田中さんは大学で受けた生物学の講義がきっかけとなり、在学中から科学的知識を絵で伝える「科学イラストレーター」として活動している。

 職場での男女比がジェンダーギャップ(男女格差)につながることも多い中、大学での環境が社会に出る前の訓練になったと語るOGもいる。

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