どん底から復活の宇野昌磨は「愛される人間」 非業の死、デニス・テンとの知られざる絆

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2022/02/08 11:30

北京五輪の団体戦で会心の演技をみせた宇野昌磨
北京五輪の団体戦で会心の演技をみせた宇野昌磨

 男子・ショート(SP)を前に、平昌五輪銀メダリストの宇野昌磨が絶好調の滑りを見せている。団体戦で日本は銅メダルを獲得したが、SPの宇野の演技で弾みがついたかっこうだ。4年前の平昌五輪で銀メダルを獲得した宇野だが、一時期は成績が低迷。北京までの道のりは平坦ではなかった。鮮やかに復活を遂げた宇野の力の源泉はどこにあるのか。

【写真】誰のためのプログラムか?ファンは察した宇野の演技

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 4日に行われた団体戦。課題だったコンビネーションジャンプは「4回転+3回転」を飛んだ。演技後は右手で小さくガッツポーズ。リンクから上がり、キスアンドクライ席に戻る途中、他国の選手から声をかけられたのか、会釈で返した。SPで自己ベスト更新の105.46点をたたき出した。

 宇野は、4年前の平昌五輪では金メダルの羽生結弦に続いて銀メダルを獲得。日本中が沸き、次の北京では「もう一段上へ」と期待を寄せられていた。しかし、その後、本人も「どん底」という時期があった。

 平昌五輪の翌2019年3月、さいたまスーパーアリーナで開かれた世界選手権。記者も取材していた。金も狙える位置にいながら宇野は4位とメダルを逃した。取材エリアで、涙しながら記者の前を通り過ぎた時の宇野の姿が忘れられない。一瞬、声をかけようとしたものの、そんな雰囲気ではなかった。

 スランプは続いた。メインコーチ不在で臨んだ次のシーズン。2019年10月のジャパンオープンで、試合前の囲み取材では「元気がないな」という印象を受けた。

 記者が、「今の出来は何点か」たずねると、

「点数はつけられるほどではないです」

 という答えが返ってきた。自分の実力をかなり低く見ているのではないか、自分を信じられなくなっているようにも受け取れた。11月のフランス杯では自己最低の8位に落ち込んだ。

 翌2020年の1月から、ステファン・ランビエールを主たるコーチに招聘すると決めた。以降の復調は既報の通り。二人三脚ぶりは、結果に表れている。

 才能をうまく引き出すいいコーチとの出会い。もちろん、それらがスランプ脱却につながったのは確かだが、誰もがうまくいくわけではない。環境を生かせるかどうかの差はどこにあるのか。

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