「典奴」の名を冠した突撃コラムも本誌で連載された(88年)
「典奴」の名を冠した突撃コラムも本誌で連載された(88年)

 書き始めてすぐ大きな話題となったのが、友人の彼が替え玉受験をしたことがあるという体験をもとにした、79年1月19日号掲載の、<替え玉に替え玉重ね受験戦争 潜った男の世に隠れ棲む日々>である(一部抜粋)。

 数々の替え玉受験を試み、うち二回の試験に成功をおさめた男がいる。彼は現在二十七歳、都内の一流私立A大の文科系学科にいまも在籍中である。

 彼は九年前の昭和四十五年春、西日本の有名私立進学高校を卒業、東大をはじめ国立、私立の有名大学を受験したが、ことごとく失敗。四年目の春、彼は大規模な替え玉受験作戦を展開したのである。

 まず、すでに東大生となっていた高校時代の同級生を替え玉に仕立てて私立A大を受ける。やり口はこうだ。当時A大は学園紛争の余波の中にあり、校門で受験票によるチェックがおこなわれていた。彼は、自分の顔写真と替え玉になる東大生の写真のネガから、双方に似た顔のモンタージュ写真を作り、それを受験票にはりつけて、替え玉を試験場に送り込んだ。その一方で自分は、閉鎖されている別の門付近の金網をペンチで切り、さらに金網下の土を手で掘って構内に侵入、試験中は地下のボイラー室にひそみ、休憩時間になると出てきて、他の受験生と合流してアリバイ作りにはげんだのであった。

 苦労の甲斐なく、替え玉のできが悪くて、この日の試験は不合格。しかし、二流私立のB大で合格を果たした。

 二年間B大に通って、A大を再受験。これにも替え玉を使ったかどうかは、いっさい明らかにしていないが、とにかく合格、現在に至っている。

 同年の2月2日号には、高校の同級生のお母さんが、「なぜかやたらとモテる」と言いだし、行く先々で男性に言い寄られるという話をもとにした、<車中の男に必ず言い寄られる 新幹線MMK(もててもててこまる)おばさんは49歳>が掲載された(一部抜粋)。

◆ドラマ化された祇園舞妓体験

 横浜市に住む主婦Yさん(49)は、関西へ転勤したご主人の身の回りの世話のため、この三年間、毎週末、新幹線で新横浜と新大阪を往復する。ところが、車中でしょっちゅう男に言い寄られ、それをどう切り抜けるかが、現在の最大のテーマとなっている。

次のページ