映画「マスカレード・ナイト」で主演を務める木村拓哉さん。続編となる本作に挑んだ感想や、アルゼンチンタンゴを踊るシーンの苦戦などを明かした。

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※写真はイメージです (GettyImages)
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──大ヒット作「マスカレード・ホテル」の続編に挑む心境は?

 プレッシャーは全くないです。映画会社の方や世間は大コケとかヒットとかおっしゃいますけど、僕にとって大事なのは、現場でスタッフや共演者の方と納得のいく作業ができたかどうか。現場が全てです。続編だからどうこうという意識はないですね。

「マスカレード・ナイト」では、アルゼンチンタンゴを踊るシーンがあるんです。原作を読んだ段階で「うわ、やべー内容書いてあるよ」とは思いました(笑)。今まで経験したことがなかったので。

 ただ、言っちゃなんですけど「踊りでしょ?」という気持ちも内心あって。色々なスタイルを一通りかじってきたので何とかなるだろうと。

 でも……甘かったです。自負という荷物を携えてよろしくお願いしまーすって現場に入ったら、「お持ちのもの全部必要ないので置いといてください」って言われた感じでした。まさにゼロからの挑戦で、「この年になってもまだこんな思いをするんだ」と、久々に落ち込みました(笑)。

──殺人犯の正体を突き止める捜査官を演じましたが、ご自身も人間観察は得意?

 意識して観察するというよりは、日常的に自然とやっているかな。仕事の時は、相手の熱量を感じ取りやすいと思います。「この人、本当に現場が好きなんだな」とか、「仕事でやってるだけだな」とか。

 後者の場合は、その人との間に一定の距離ができてしまいますね。でも良い仕事をするために必要なら、おせっかいおじさんになる時もあります。

 たとえば、モチベーションが低いスタッフさんって道具を雑に扱う方が多い。撮影用の機材をガシャーンって床に置いたりする。そういう場面を見ると、「ん?」って引っかかるんですよね。最初は何も言わないけど、4回目くらいで「自分のものだと思って運んでよ」って注意しちゃったり。

(構成/本誌・大谷百合絵)

>>【後編/木村拓哉が外した“仮面”  SMAP時代「彼女いんのー?」にマジ回答】へ続く

週刊朝日  2021年9月24日号より抜粋

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大谷百合絵

大谷百合絵

1995年、東京都生まれ。国際基督教大学教養学部卒業。朝日新聞水戸総局で記者のキャリアをスタートした後、「週刊朝日」や「AERA dot.」編集部へ。“雑食系”記者として、身のまわりの「なぜ?」を追いかける。AERA dot.ポッドキャストのMC担当。

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