4人組バンド「SEKAI NO OWARI」のメンバーであると同時に文筆活動でも注目を集める藤崎彩織さん。そんな彼女の日々の思いや風景を本音で綴ったエッセイが『ねじねじ録』(水鈴社、1540円・税込み)だ。
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「もう赤裸々に書いちゃったなあって(笑)。ただ、音楽家としてはもちろん、母、妻、娘、女と、本当にいろんな立場で書いたので共感できる部分もあれば、全然違うということもあると思います。なので、人それぞれで様々な考え方があるんだなあって読みながら皆さんの人生に置き換えていただけたらすごく幸せです」
エッセイの元になったのは、スマホのメモに書き綴っていた日記だとか。
「感情が高ぶった時につけるというルールを課していて、『絶対に許せない』といった、すごくつらいとか、怒っているというその感情を美化せず思いのたけをぶつけていました。でも、読み直してみると次の日には忘れていたり。どんな悲しみも怒りも一生続くことがないのは経験上わかっているので、いわば日記は私の精神安定剤ですね」
どの話をエッセイにするかの選別は「なるべく書きたくないものから書いていくこと」。だから、最初の「子育てが苦手でも」にも悩みや葛藤、そして思いが詰まっている。
「私は産後3カ月で仕事に復帰しましたが、周りの男性たちに『子供、大丈夫なの?』って聞かれるんですね。彼らにも子供がいるのに私だけ何故? 母親が傍にいないと子供ってかわいそうなのかな、ステージに上がっていいのだろうかと、不安にもなりました」
それでも藤崎さんは「みんなで助け合ってやろうと言える社会でありたい。子育てのみが、親だけで解決しなくてはいけないなんてことはないのだから」と、言葉を結ぶ。どのエッセイも最後の文章が秀逸である。
「すごく言葉を尽くさないと間違って伝わりかねないから、言葉を選ぶのが難しくて。一番嫌だったのは自分の無知によって誰かを傷つけてしまうこと。だから、ニュースをたくさん読みましたし、いろんな人と話をした上で自分の言いたいことが伝わるように気を配りました」