高級食パンは「滋味溢れた古老の噺家のような甘さ」 一之輔が感激 (1/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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高級食パンは「滋味溢れた古老の噺家のような甘さ」 一之輔が感激

連載「ああ、それ私よく知ってます。」

春風亭一之輔週刊朝日#春風亭一之輔
春風亭一之輔・落語家

春風亭一之輔・落語家

イラスト/もりいくすお

イラスト/もりいくすお

 落語家・春風亭一之輔氏が週刊朝日で連載中のコラム「ああ、それ私よく知ってます。」。今週のお題は「パン」。

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 食パンが流行っている。食パンを買うためにみな並んでいる。食糧難でもないのに。お土産に、ご進物に、おつかいものに高級食パン。ほんのり甘みがあるらしい。甘いパン? 甘食か? 「甘食(あましょく)」とはアダムスキー型UFOを横に半分にしたような、硬いマドレーヌみたいな味のパン。西日本の方には馴染みがないらしいが、私の子供の頃のご馳走だった。

 どうやら甘食ではないらしい。当たり前か。実は先日、その高級食パンとやらを楽屋見舞いで頂いた。甘食のほうが嬉しいなと思いつつ食べてみる……あ、美味い。悔しいかな、甘食とは次元が違う。しっとりとして、噂のとおり上品な甘み。滋味溢れた古老の噺家のような甘さ(甘食は「どーだ! オレ甘ぇだろ!?」という昔売れた一発屋芸人のような甘さ)。高級食パンはもう食パンではない(甘食もどうやらパンではないらしい)。高級食パンは持ち手があみ紐の高そうな紙袋に入っていた(甘食は「甘食 6個入り」と書かれた安っぽい袋に入っていた)。その紙袋を捨てられず、私はまだそれをお出かけ用に使っている(甘食の袋は母が台所で生ゴミを入れるのに使っていた)。

 思い返せば、子供の頃。私は牛乳に砂糖を溶かして、そこへ8枚切りの薄い食パンをちぎってヒタヒタにして食べるのも大好きだった。甘食がないときは、これ。もし、今流行りの高級食パンを牛乳に浸したら「そんなことしたらパンの神様のバチが当たるべ!」と村の長老が怒るだろうな。……誰だよ、長老って。


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