室井佑月・作家
室井佑月・作家
イラスト/小田原ドラゴン
イラスト/小田原ドラゴン

 作家の室井佑月氏は、東京五輪開催に反対する人たちへに投げかけられた“賛成派”の言動を指摘する。

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 弁護士の宇都宮健児さんが、ネットで五輪開催中止を求める署名活動をはじめた。5月11日配信の「デイリースポーツ」によると、11日午前9時現在で32万筆を突破したようだ。

 なぜ署名活動をはじめたのか、宇都宮さんはこう語っていた。

「今の状況下でオリンピックのために1万人の医療スタッフとか、ますます助けられる命が助けられなくなるという危険性があるということが、こういう署名を開始したということ」

 至極、真っ当だ。これがわからない人はいるのか? いるのだ。

 明治天皇の玄孫として売り出した政治評論家(?)の竹田恒泰氏が、ネットで東京五輪開催を求める運動をはじめた。

 竹田氏は10日、DHCテレビ「虎ノ門ニュース」に出演し、宇都宮さんをこうののしった。

「共産党に担がれていつもつまんない都知事選に出てにぎやかしをやっているクソジジイですよ。今回の彼が立ち上げた署名サイトも完全に次の都知事選挙に向けた政治的なウォーミングアップ」

 このゲスな物言い。やはり、血筋なんてもんは関係がないのだね。むしろ、差別発言をする会長のいるDHCの番組だから、竹田氏に合っているといえば合っているのか。

 竹田氏のツイッターには、

「池江(璃花子)選手への誹謗(ひぼう)中傷を知って、東京五輪開催『賛成』の署名を立ち上げないといけないと思いました」とあった。この原稿を書いている11日19時の時点で、「いいね」が2万8千だった。「いいね」を押した人々はこの男が愛知の不正署名事件でも応援団だったことを知っているのか?

 議員でも竹田氏のようなことをいっている人がいる。よりによって、丸川珠代五輪相だ。

 おなじく5月11日配信の「デイリー」によれば、丸川五輪相は11日、閣議後の定例会見でこんなことをいった。

「(東京五輪は)コロナ禍で分断された人々の間に絆を取り戻す大きな意義がある」「(池江選手に辞退を求めるメッセージについて)匿名で個人への言葉の暴力はいかなる理由でも許されない」

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室井佑月

室井佑月

室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

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