法定後見人については当初、家裁は親族を選ぶことが多かったが、本人の金銭を使い込む事例もあり、弁護士、司法書士、社会福祉士ら専門職を選ぶようになった。だが、月々の費用がかかるほか、親族側からは本人の預金通帳も見せてもらえないことなどへの不満が出ている。医療行為の同意が必要な場合も、「財産行為の代理などと違い、後見人にはなじまない」(消費者問題に詳しい洞澤美佳弁護士=たつき総合法律事務所)。買い物代行をすることも難しく、制度には限界がある。

 身寄りのない高齢者が身元保証人を求められたら、どうすればいいのか。上智大の栃本教授は言う。

「まずは地域包括支援センターに尋ねてみるなど、一人で決めずに相談することが大切です。子どもや孫がいれば、相談したほうがいい」

 医療ソーシャルワーカーを二十数年務めた、日本医療社会福祉協会の坪田まほ業務執行理事は言う。

「いつ身寄りがなくなるかわかりません。一人ではお墓に入れず、誰かのお世話にならないといけません。健康なうちに意思表示をして残しておくことも大事です。一人ひとりが自分のこととして考えていかないと、社会は変わっていきません」

(本誌・浅井秀樹)

週刊朝日  2021年4月2日号