一つのリゾート地にいくつものホテルを抱えるプリンスホテルは、エリア内での「営業集約」を進める。長野県軽井沢町を拠点とする「ザ・プリンス軽井沢」は2月8日まで臨時休業するものの、「軽井沢プリンスホテル」は営業を継続。後者が、前者の宿泊予約を束ねる。

 軽井沢地区で事業戦略支配人を務めるプリンスホテルの別府敏直氏は、「感染拡大防止」と「営業効率向上」を両立するため、こうしたやり方にしたと説明。営業再開後は「(仕事と休暇を兼ねた)ワーケーションや近場旅行の需要に応えるサービスを充実させ、アフターコロナ時代の新たなホテルの使い方を提案していきたい」という。

 一方、今回の緊急事態宣言をきっかけに、テレワーク対応などのサービスを強化した老舗ホテルもある。

 ホテルニューオータニ大阪(大阪市)は、平日限定のテレワークプランを提供する。午前9時から午後6時まで滞在でき、料金は1室あたり1万3千円(2人まで同料金)。昨年の緊急事態宣言下で同様のプランを提供して反響が大きかったため、抗ウイルス・抗菌スプレーやホテルオリジナルのマスクケースをつけるなどしてプランをリニューアルした。開始1週間で、50件超の予約があったという。

 品川プリンスホテル(東京都品川区)も、チェックイン時間を客自身が自由に決められるプラン「フレックス10」を開始。料金は8千円からで、最長10時間滞在できる。テレワークだけでなく、“終電繰り上げ”にも対応する。

「事前予約はテレワーク利用が多く、宿泊直前に予約されるのは終電を逃したケースだと思われる。今後は日中と夜間、いずれの時間も予約が増えると見込む」(ホテル担当者)。プリンス系列の都内8ホテルでも提供され、予約も上々だ。

 料理のテイクアウトに力を入れるのは、福山ニューキャッスルホテル(広島県福山市)だ。年明け後、宿泊や宴会場・レストランの予約キャンセルが相次いだ。

「通常、企業の例会などで地元客の利用が多い時期ですが、今年は新型コロナの影響で控える傾向が強い。全国的な自粛ムードの強まりが、地元客の心理にも影響を与えている」と総支配人の萩原直純さんは話す。そこで、昨年の緊急事態宣言を機に始めたテイクアウト商品を強化。「今後はケータリングなど、ホテル側からお客様のところに自ら出向く取り組みに力を入れていく予定です」

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宿泊・観光業は復活するのか