C:コロナショックで日経平均は1万6千円台まで急落したけど、年末にかけて1万円以上も値上がりした。その影響でマーケットは盛り上がったように見えるんだけど、国内の売買動向を見ると個人は5月以降、ほぼ毎月売り越し。年間でも外国人や生損保の機関投資家も売り越している。バブル以来の高値更新と騒がれた割には、稼いでいる投資家は少ない。

B:Cさんのような国内株中心の運用会社にとってもキツイ年でしたね。

C:投信全体では2兆円近くの資金の流入超でしたが、国内株式型の投信は1兆円以上の流出超。国内の売買手口を見てもそれは顕著で、昨年4月以降ずっと投信は売り越しが続いています。コロナショック以降、少し相場が戻すだけで解約が出るようになった。いつまた暴落するかわからないから、ある程度戻した水準で“やれやれ売り”が出て資金流出が続いた格好です。

D:暴落相場では必ず二番底、三番底をつけてから本格的に反騰する。私を含めて長年相場を見てきた投資家ほど、そう思い込んでいたからコロナショックでは底値で拾うことができませんでした。むしろ、V字回復した相場のほうが異常。年後半には業績を上方修正する企業も相次いだけど、日経平均がバブル以来の高値を更新するほどの材料とは思えません。

B:それぐらい20年の相場は難しかった。熟練の投資家ほど稼ぎにくかった一年と言える。

D:実際、財務内容などから割安株を発掘して投資するバリュー投資家、優待や高配当株を狙う投資家は軒並み大損している。逆に稼いだ個人は一日に何度も売り買いを繰り返すデイトレーダーや、高値圏にあるグロース株(高成長銘柄)でも買い上がっていくような投資家。投資が本業の専業投資家は荒稼ぎした人が多い一方で、じっくり値上がりを待つスタイルの人が多いサラリーマン投資家は損した人が多い。

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