コンビニから出てきた女性2人に話を聞いた。

「自宅は杉並区。昨日、成人式でした。大人になったのでこれから初ホストクラブなんです(笑)。夕方、ネットでいろいろ検索して、3時まで営業してる店を電話予約しました」 

こう話すのはアパレルショップ店員のK子さん。相棒のA美さんは幼なじみの大学生だという。 

 2人とも両親や親戚からもらったお年玉が当日の「軍資金」だとか。

「お店のホームページには、初回限定5千円と書いてあったから、ホストに飲み物をごちそうしてあげて、消費税とサービス料を加えても1人2万円で収まると思う」(K子さん)と屈託がない。 

 それにしても、こんな時間に何と言って家を出てきたのだろうか?

「親には、友達の家で少人数でホームパーティーをするってことでOKもらってます。ホストクラブ? 行くなんて言えるわけないじゃないですか(笑)」(A美さん) 

 杉並区は11日に23区で唯一、「成人祝賀のつどい」を開催し、物議を醸した。田中良区長は祝辞で、「まずは、あなたたちを信頼したい。その上で約束してほしい。酒盛りは控えて家に帰ってください」と訴えたのだが……。

「はい、じかに聞いたので覚えてます。でもいったん真面目に自宅に帰ってるし、もう日付も変わってるから、そんなのチャラですよ(笑)」(K子さん)。 

 お年玉で未明にホストクラブ遊び。こうした成人は少数だと思うが、意気揚々とお目当ての店へ向かう2人を見送りながら、田中区長の「信頼したい」がなんともむなしく響いた。 

 さらに北風の中、ホスト街を右へ左へと歩く。
 
1時15分。大きな派手なホストの看板が何枚も掲げられているビルの前に救急車が止まり、救急隊員が慌ただしく出入りしていた。 

 5分ほどするとビルのエントランスから、救急隊員とともに茶髪の男性が横たわったストレッチャーが出てきた。近くにいた男性に聞くと、「急性アルコール中毒みたい。多分、一気飲みでしょ。ホストクラブではよくある話です」。 

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貴重な医療資源の無駄遣いにつながる危険性