マリナーズの菊池雄星=2019年3月(C)朝日新聞社
マリナーズの菊池雄星=2019年3月(C)朝日新聞社
レイズの筒香嘉智=2020年1月(C)朝日新聞社
レイズの筒香嘉智=2020年1月(C)朝日新聞社

 日本球界でトップレベルの選手たちがメジャーに挑戦してきたが、活躍した選手はごく一握りだ。パワー、スピード、技術に加えて異国の環境への適応力も求められる。この両選手も試行錯誤を繰り返し、来季は正念場となる。レイズ・筒香嘉智とマリナーズ・菊池雄星だ。

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 日本野球機構(NPB)通算205本塁打を放ち、侍ジャパンでも4番を務めた筒香は2019年オフにDeNAからポスティングシステムを行使してメジャーに挑戦。推定2年総額1200万ドル(当時約13億1千万円)でレイズに入団した。レイズは金満球団ではない。19年の総年俸はメジャー30球団で28位の約55億円。筒香は球団内で4番目の高給取りになったのが期待の大きさを物語っていた。

 チームはリーグ最高勝率でポストシーズンへ進み、12年ぶりにワールドシリーズに出場したが、筒香は51試合出場で打率1割9分7厘、8本塁打、24打点と不本意な数字に終わった。

 新型コロナウイルスの影響でレギュラーシーズンが60試合と短く、初対戦が続く投手に対応するための時間が足りなかったことは差し引かなればいけない。選球眼の良さは相変わらずで出塁率は3割1分4厘だったため、打率ほどの悪いイメージはない。米国メディアの記者は筒香の課題をこう指摘する。

「速い球にアジャストできていないように感じた。特に95マイル(約153キロ)を超える球を捉えられないので、シーズン終盤は直球を懐に投げ込まれて苦しんでいた。この部分を改善しないとレギュラーに定着するのは厳しい」

 筒香は来季が2年契約の最終年。結果を出せばレイズとの再契約や、他球団からビッグオファーが舞い込む可能性がある一方で、そうでなければメジャーで生き残れない。野球人生の分岐点の年になりそうだ。

「日本人ナンバーワン左腕」と形容されたマリナーズの菊池も苦しんでいる。昨季は9試合登板で2勝4敗、防御率5.17。地元紙のシアトル・タイムズは「キクチはもう言い訳できない。力を発揮しなければならない」と辛辣(しんらつ)だ。

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努力家で自己分析力が高いが…