感染者増に警鐘を鳴らす新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長 (c)朝日新聞社
感染者増に警鐘を鳴らす新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長 (c)朝日新聞社

 コロナ禍で迎えた2021年。変異種の発生に、早くも第4波を懸念する声が出ている。

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 昨年末、新型コロナの変異種が発見されたとの報道が世界を駆け巡った。感染力は従来のウイルスよりも最大1.7倍あるとされ、英国で感染が急拡大。オランダやデンマーク、豪州などでもこの変異種が見つかった。

 多くの国が英国からの受け入れを禁止する中、日本も出入国緩和策の対象から英国を除外すると発表し、入国制限を強化した。

 大阪大学免疫学フロンティア研究センター招へい教授の宮坂昌之医師がこう警告する。

「すでに英国の変異種が日本にも上陸している可能性があります。これからも継続して入ってくると、感染が止められなくなる恐れがあります。他国からの渡航者を含め、空港での水際検査を徹底する必要があります」

 東京や大阪など大都市圏の新規感染者数は高水準のままだが、明るい兆しもある。宮坂医師によれば、第3波が収束に向かっている可能性があるという。無症状者を除いた、東京都の「発症日別による陽性者数の推移」を見ると、12月中旬をピークに減少している。

「無症状者を含めた新規感染者数は、検査数の増減に左右されます。死者と重症者が減ればいいので、発症日別の流行曲線でピークを見て、感染の状況を判断するのも一つの方法です」

 感染症が流行し始めてピークに至るまでに要した期間と、そこから収束に向かう期間はほぼ同じであることが多い。

「患者数が増え始めたのが10月下旬ごろですから、2カ月近くかかっています。ですから収まるのは2月中旬か下旬でしょう」

 ただ、変異種が入ってくれば、「第4波の引き金にもなりかねない」と警戒する。現時点では変異種の病原性が高まっているというデータはないが、感染者が増えれば重症者や死亡者も増える。ただでさえ逼迫(ひっぱく)している医療現場に、これ以上の負荷をかければ医療崩壊につながりかねない。

 医療ガバナンス研究所の上昌広医師がこう危惧する。

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