プロ野球以外でも注目が集まりそうな新庄氏/(c)朝日新聞
プロ野球以外でも注目が集まりそうな新庄氏/(c)朝日新聞

 12月7日にプロ野球12球団合同トライアウトに参加して話題を呼んだ元プロ野球選手の新庄剛志氏(48)が13日、SNSで球団からのオファーはなかったことを明らかにした。6日間で何も打診がない場合は「野球は終わり」と公言しており、今後の動きが気になるところだ。

 米大リーグや日本ハムなどで活躍し、2006年に引退して以来の新庄氏の挑戦。トライアウトでは、3打数1安打1四球1打点と結果を残しただけに、現役復帰?と大きな注目が集まった。

 ただ、元千葉ロッテマリーンズ捕手で野球解説者の里崎智也さんは冷静に見ていた。

「10年以上も現役を離れていたと考えれば、『投げる』『打つ』『走る』においてはよく動けているなという印象です。ただ、プロの1軍でレギュラーとして活躍できるかと言われれば、難しいと思います。守備固めなど起用法を考えれば面白い存在になる可能性はありましたが」

 トライアウト後、各所でプロ復帰に肯定的な意見が聞かれたが……。

「それらすべては、『48歳にしては』『10年以上ブランクがありながら』の枕詞(まくらことば)がつきます。他の選手たちと同じ前提ではないことをまず考えるべきでしょう」

 各球団もそこは同じ見方だったのか、13日の段階で新庄氏に声をかけるところはなかったようだ。

 一方、今回の新庄氏の挑戦について、アスリートのセカンドキャリアを支援する日本営業大学の中田仁之学長が語る。

「(新庄氏は)復帰そのものが目的というより、昨年末の復帰宣言からトライアウトで姿を見せるという1年間の一大プロジェクトを見せることで、同世代の方々の勇気になることが目的だったのではないかと見ています」

 同大学では、元プロ野球選手を始め、多くのアスリートを支援してきたが、その中にはある共通点があるという。

「セカンドキャリアを支援するにあたって、適性検査に加え、プライド調査を行います。そこで見えるのは、多くの方が競技生活に少なからず未練を残しているということです。現役時代に浴びた称賛や歓声を忘れられないため、区切りをつけ、前を向くには一定の時間が必要です。その点、新庄さんはご自身の強みや魅力を俯瞰(ふかん)的に分析できているので、そういった心配はなさそうです」

著者プロフィールを見る
秦正理

秦正理

ニュース週刊誌「AERA」記者。増刊「甲子園」の編集を週刊朝日時代から長年担当中。高校野球、バスケットボール、五輪など、スポーツを中心に増刊の編集にも携わっています。

秦正理の記事一覧はこちら
次のページ
野球解説者の道は