この戸籍謄本は、故人の預貯金の払い戻しを申請するうえで、金融機関に提出しなければならない。故人の口座は、金融機関が死亡を認知した時点で凍結され、没後は家族であっても原則として預貯金は引き出せなくなる。故人の戸籍謄本が複数ある場合、複数の市区町村の役場に申請に行ったり、郵送で請求したりといった作業が必要になるため、預貯金が払い戻されるまでに数カ月かかるといったことも考えられる。

 こうした負担を遺族にかけないために、生前に過去の全ての戸籍謄本をそろえておき、家族に保管場所を伝えておくのも一つの選択肢だろう。

 また、財産の相続で気になるのが「相続税」だ。できるだけ低く抑えたいのが本音だが、税理士兼ファイナンシャルプランナーの福田真弓さんは、「妻に財産を相続させる場合はほとんど気にかける必要はない」と話す。

「妻には『配偶者の税額軽減』が適用され、相続額が法定相続分もしくは1億6千万円以内であれば非課税になります。そのため相当な資産家でない限りは、特に節税対策の必要はありません」

 一方で、子どもに財産を相続させる場合は、さまざまな節税対策を講じることで、より多くの資産を残すことができる。その一つが、「暦年課税制度」による財産の生前贈与だ。

「通常、財産を贈与したときは『贈与税』がかかりますが、暦年課税制度を利用すれば年110万円までは非課税になります。年110万円の非課税枠は、財産を受け取る人ごとに設けられるため、例えば、長男と長女に毎年110万円ずつ財産を贈与し、それを10年間続ければ、2200万円分の資金を無税で移転できます」(福田さん)

 ただし、注意すべきことが二つある。一つは、生前贈与を行うごとに「贈与契約書」を作成し、贈与の事実を証明できるようにしておくこと。もう一つは、夫(被相続人)が死亡した日から3年以内に贈与された財産については、「相続税」の対象になることだ。これは裏を返せば、3年より前に贈与された財産(年110万円以下)であれば、贈与税も相続税もかからないことになる。そのため生前贈与を行うのであれば早いに越したことはない。

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