レース使いがエレガントな「トリンプ477 フルカップブラジャー」(トリンプ提供)、70・80代以降をターゲットにしたワコールの「らくラクパートナー」のニットトップ(ワコール提供)
レース使いがエレガントな「トリンプ477 フルカップブラジャー」(トリンプ提供)、70・80代以降をターゲットにしたワコールの「らくラクパートナー」のニットトップ(ワコール提供)

 ベージュの下着は年配の女性が着るもの。そんな固定観念が崩壊しつつある。バブル時代を経験した50~60代の女性の間ではいま、派手でカラフルな下着が流行。一方、若者の間では「ベージュ回帰」も……!? 背景には「自分のため」に下着を選ぶ新しい時代の流れがあるようだ。

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 おばちゃんの下着といって思い浮かぶのは何だろうか。ワイヤーがないタンクトップ型のベージュのブラジャー。そして、おなかまでカバーする「でかパン」。だが、いまのシニア向け商品は、それだけではなくなってきている。ワコール広報・宣伝部の福岡智亜紀さん(51)はこう話す。

「定番のベージュ以外にも色のバリエーションが増えました。70代以上はベージュのほか、ピンク、アイボリーといった淡い色味が定番ですが、黒などの濃い色も実用的であまり抵抗がありません」

 少し下の世代になると、嗜好が少し変わって挑戦的になる。

「女性誌『アンアン』や『ハナコ』を読んでいた55歳以上は、バブルを経験して、日本のファッションをリードしてきたおしゃれ世代。派手な色がお好みです。ブラジャーは、青みがかったパープルに、黄色っぽいカーキ、ボルドー(茶色みの強い赤)と、華やかなものがラインアップにあがっています。洋服に合わせて、下着もコーディネートします。ブラジャーをファッションの一部として、例えばオレンジなどのビタミンカラー、シックなネイビーなど濃い色を合わせます」

 下着といえば、昔はもっと地味だったはず。

「50~60年前、下着といえば、白やベージュの綿素材がほとんどでした。装飾はあってもほんの少しだけ。レースもたくさんは使われず、シンプルでした」(福岡さん)

 着物文化も残っており、毎日はブラジャーを着けない人も多かった。

「かつては寄せたり、盛ったり、楽しむものではなく、胸にあてる実用的なもの。白いブラウスに透けないようにする存在でした」(同)

 それが30年ほど前から、下着の常識を覆す流れが生じた。バブル期にボディコンファッションが流行してから、体のラインを美しく見せたい人が増えた。ランジェリーでバストを盛ってボディーメイクすることが、おしゃれの一環になったのだ。

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