少子高齢化で労働力が不足するなか、期待されるのがシニア人材の活用だ。すでに国は高年齢者雇用安定法を改正し、来年4月からは企業に対して、70歳までの就業機会の確保を努力義務としている。

 近年、早期退職を募集する企業が増え、さらにこのコロナ禍で業績悪化の企業では従業員のリストラが行われるように、労働環境は悪化している。

 しかし、厚生労働省の「19年高年齢者の雇用状況」によると、31人以上規模企業の常用労働者数は約3165万人。このうち60歳以上の働く高齢者は約387万人で右肩上がりだ。

 そのなかに、即戦力で活躍するシニアがいる。

「エルダーシャインは社内に想像以上の効果をもたらしてくれている」と絶賛するのは、パソナグループエルダーシャインチーム長の岩佐実さんだ。

「シニアの方は企業で長く働いてきたので、コミュニケーション能力があり、活躍できる方がたくさんいます。ゼネラリストとして力を発揮できる場を作っていきたい」

 金融業で管理職を務めた人が、新たな配属先ではマネジメントを担当したり、自動車ディーラーの役員経験者が営業マンとして現場に出たり、活躍しているという。

「自動車ディーラーで役員まで務められた方は、『現場にもう一度出たい』と、人材派遣の営業担当になり、配属から半年で30件もの新規受注を獲得されました。飛び込み営業で何度でもチャレンジする姿勢や、契約までこぎつける、顧客への対応は若手社員のお手本になりました」(岩佐さん)

(ライター・村田くみ)

週刊朝日  2020年10月16日号