細かな野球、隙を突く野球というものがクローズアップされた。今も変わらぬものだと思うが、相手に何かをやってくると考えさせた時点で勝ちであり、自分たちがあらゆる可能性へ準備できていれば、「自分たちの野球」ができる状態になっている。そこに奇策というものはない。選手が自分の特長を理解し、それを徹底すること。それが当たり前のようにできていれば、チームは強い。リーグ2連覇中の今の西武だが、やはり打線が何年も12球団最強であるわけがない。本当に柱になる投手が出てこないと一気に置いていかれる。

 中日大野雄大が投げるたびに完投、完封と素晴らしい投球をみせている。今の先発投手は、打者の技術向上もあって、初回からある程度のエネルギーを持って飛ばす。1試合の球数は120球程度。その中で完投、完封をマネジメントすることが求められる。

 高橋光成や今井達也にもそういう投手になってもらいたいのだけれど。

東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝

週刊朝日  2020年10月9日号

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東尾修

東尾修

東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝。

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