林:でも、大ケガしちゃって、それで日本に帰ってきて、高校の卒業認定を取って大学に入ったんでしょう?

趣里:そうなんです。当時は何も事態がわからなくて、みんなどうするんだろうと思ったら、大学に入るみたいだから、私も勉強しなきゃと思って勉強して、受けて入りました。

林:帰国子女枠で入ったんですか。

趣里:いえ、一般入試です。

林:エラい! 専攻は何だったんですか。

趣里:文学部芸術学科です。演劇の歴史を学んだり、映画鑑賞をする授業や、身体表現の授業などがあって、おもしろそうだなと思い選びました。当時はバレエや舞台を見ると「ああ……」ってつらくなっていたんですけど、バレエ以外の表現もあるんだと思い始めて、アクターズクリニックという演技の学校に行き始めました。それが18歳ごろです。

林:どんなことを教わるの?

趣里:海外のメソッドを学んでいました。レッスンが週3ぐらいありました。ワークショップもありましたし、役づくりを細かく書いたノートを提出したりという感じで、けっこうハードでした。原作があれば図書館に行って読んだりもしました。

林:英語の本だったら原書で読めるんでしょう?

趣里:当時はまだ英語に慣れていたので何とか読めました。海外から先生がいらして行うレッスンも、英語でセリフを言ってました。

林:ブロードウェー進出のいちばん近いところにいたわけじゃないですか。

趣里:いえいえ、それほどじゃないんです。ブロードウェーは、バイリンガルぐらいしゃべれないとダメだと思います。英語をすごく頑張って勉強すれば、40歳ぐらいにはなんとかなりますかね?(笑)。でもまず、日本でお仕事をしっかりしないと、と自分では思ってるんです。

【「けっこうナヨナヨしてて……」、若手女優・趣里が憧れる大女優とは?】へ続く

趣里(しゅり)/1990年、東京都生まれ。4歳からクラシックバレエを習い始め、高校に上がるタイミングでイギリスにバレエ留学。その後、ケガでバレエの道を断念し、2011年「3年B組金八先生ファイナル」で女優デビュー。以降、多数の舞台や映画、ドラマに出演。16年にはNHK連続テレビ小説「とと姉ちゃん」出演で注目を集める。18年の主演映画「生きてるだけで、愛。」で日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。舞台「わたしの耳」(シス・カンパニー、9月9~18日、新国立劇場小劇場)、「ハロルドとモード」(東京公演9月28日~10月3日、大阪公演10月14~15日)に出演予定。

(構成/本誌・松岡かすみ、編集協力/一木俊雄)

週刊朝日  2020年9月18日号より抜粋