


借金返済のために借金をする生活は、いずれ破綻する。新型コロナウイルスとの闘いで多額の財政出動をする日本は、巨額の債務を積み上げている。国や通貨に対する信用が揺らぎ、ハイパーインフレ(超インフレ)になった事例は、日本を含め、いくつもある。
6月12日、新型コロナ対応の追加対策を盛り込んだ総額31兆9114億円の2020年度第2次補正予算が与野党の賛成多数で可決し、成立した。国民1人当たり10万円の給付金などを盛り込んだ1次補正と合わせ、総額57兆円超にふくらんだ。
その財源は、言うまでもなく、すべて国の借金である国債の発行。当初予算などを合わせた20年度に新規発行する国債は、リーマン・ショックへの対応で発行した09年度を上回り、過去最大の90.2兆円にのぼる。予算の半分超を国債に頼り、「借金まみれ」の財政がさらに深刻さを増す。
国の19年度の一般会計予算でも、歳入総額は101.5兆円。このうち税収が61.6%を占め、その他収入を含めても67.8%。残りの32.2%が公債、つまり借金というわけだ。これまで積み上げた国債の利払いや償還といった借金返済などのため、家計の3分の1をまた借金でまわしている形だ。
「借金ばかりがどんどん膨らんでいて、自転車操業になっています。それがコロナショックで加速しています」。金融コンサルタントでマリブジャパンの高橋克英代表は話す。「日本政府への信認は“いま”はあります」とも付け加え、財政は当面はなんとか機能できるとした。
実際、日経平均株価は3月半ばに1万6千円台まで下落したものの、6月に一時、2万3千円台を回復するなど、年明けごろの水準に戻りつつある。
「日本ではお金がばらまかれており、歴史的に見てインフレの引き金になるリスクがあります。インフレになるなら株や不動産を買っておいたほうがいいので、いま株高になっているのは、そうした可能性があるからなのかもしれません」