石井:昔は作家でもスポーツ選手でも、スキルや力で評価されてたのが、今はそれに容姿が加わって、むしろ容姿や自己アピール力のほうが重視される。私はそれが平成という時代30年の特徴であり、弊害だったと思うんです。

林:女性の進出を推進するという名のもとに、審議会でも何でも「女性を2人入れなきゃいけない」とか言って女の人たちが集められますけど、基準がよくわからないですよね。

石井:ええ、それも本業がよくわからない人が入ることがけっこうありますよね。男の人が自分たちの好みで選んでるんですよね。

林:私たちの業界も、きれいでカワイイ人も増えてきたけど、最後は何を書いてるかというところですよね。

石井:本当はそこで評価が決まってくるはずなんだけれども、出版社のほうもカワイイ子や有名人を連れてきて書かせて作家にしちゃうみたいなところもあって……。

林:そうそう。タレントさんとか女優さんが「作家デビュー」とかいうと、「またやってるな」みたいな感じ。でも、その中でもちゃんと書いている人は残っている気がします。

石井:女性の政治家も、昔は全身全霊で政治に取り組んでるみたいな感じの方がいましたけど、最近は美しくて経歴もピカピカで自己愛の強い人が、「こういう私を生かせる職業って何かしら。政治家かしら」と思って政治の世界に入ってくるケースが増えているのかな、と。マスコミで騒がれてる人とか、見た目が華やかで、ちょっと弁が立つ女性をスカウトして政治家にしちゃうケースも増えていて、女性のありようがむしろ後退してる感じがするんです。容姿重視は、映像の時代になったからでしょうか。

林:でも、女性の政治家って、この人いいな、頑張ってほしいなと思うと、すぐスキャンダルでやられて続かないんですよね。

石井:私も女性の政治家が増えてほしいと思ってるんです。人数が増えて、裾野がしっかりして、そこから押し上げられるようにして出てきて、そのとき初めて「女性の代表」って言えるんじゃないか。今は男の人がピックアップして、かき集めてきているような感じがします。

>>【原節子の生涯も女性目線で…『女帝 小池百合子』著者の次作は?】へ続く

(構成/本誌・松岡かすみ、編集協力/一木俊雄)

週刊朝日  2020年7月10日号より抜粋