梅酒と梅ジュース (c)朝日新聞社
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梅酒研究会の明星智洋・代表理事が勧める「ドライ梅酒のレシピ」 (週刊朝日2020年6月26日号より)
梅酒研究会の明星智洋・代表理事が勧める「ドライ梅酒のレシピ」 (週刊朝日2020年6月26日号より)

 梅酒を作ってみませんか。スーパーには今、青梅が並んでいます。ホワイトリカーなど、いろんなお酒を試して自分好みの味を追求するのも楽しみの一つです。しかも、疲労回復や熱中症予防の効果もあるそうです。

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 東京都世田谷区の主婦(58)は5月末、毎年恒例の梅酒作りのため、豪徳寺の境内で取れた青梅を寺で3キロ購入した。今年は4リットル容器で三つ作る予定だ。

「レシピは祖母直伝。料理にも使います。梅酒で角煮を作ると、とてもおいしいんです」

 国内市場に出回る梅の6~7割は紀州産。JA紀南(本所・和歌山県田辺市)加工部の榎本義人さんは、梅選びについてこう語る。

「梅酒に向くのは南高梅。つやがあり、しなびておらず、へたが黒くないものを選びましょう。色みは新鮮であれば問いませんが、緑はすっきり、黄色はまろやかでフルーティーな味わいになります」

 基本的にあく抜きは必要ないという。買ってすぐに漬けてもいいが、榎本さんは冷凍することを勧める。細胞が壊れやすくなり、果実の成分がより抽出されるからだ。楊枝でへたを取って軽く洗い、保存袋などに入れて冷凍庫に入れる。冷凍は1日でも良く、長期の冷凍は勧めないそうだ。

 レシピは簡単。梅1、氷砂糖1、ホワイトリカー2の割合で容器に入れて、冷暗所に保存する。

 容器は広口ビンが良く、事前に殺菌しよう。梅と氷砂糖は交互に入れる。氷砂糖はゆっくり浸透させるためだ。ホワイトリカーの代わりに、ウイスキーや焼酎、ブランデーなどを使っても良いだろう。

 時々、氷砂糖が満遍なく青梅に染み渡るように容器を動かす。およそ2、3カ月で完成。半年ほど待てば、味わいが深くなる。榎本さんは言う。

「2カ月ほどで果汁は出尽くす感があります。雑味を消すために梅の実は取り除いたほうが良いでしょう」

 梅酒業界も新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた。愛好家でつくる梅酒研究会(明星智洋代表理事)が全国120の蔵元に行ったアンケートによると、出荷量が平均57%減少した。150種類の梅酒が楽しめる、3月の全国梅酒まつり(水戸、福岡)も中止になった。

 だが、同会が行き場を失った梅酒1万本をネット販売したところ、2時間で完売。追加で2万本を仕入れて販売した。梅酒の根強い人気が改めて浮き彫りになった。

 おいしいだけではない。梅酒を毎年作っていた祖母ががんで亡くなったことから、抗がん剤の専門医になった明星さんは、健康効果についてこう話す。

「梅に含まれるクエン酸は疲労回復効果があるとされています。ミネラルやカリウム、カルシウムも豊富。熱中症予防にもなるので、これからの季節にいいですね。ただし、飲みすぎには注意。適量を守りましょう」

(本誌・大崎百紀)

週刊朝日  2020年6月26日号