パーソル総合研究所が全国約2万5千人を対象としたアンケート(4月)によると、在宅勤務を実施している割合は正社員の27.9%に対し、非正規社員は17%と10ポイント余りの差があった。正社員に認められているテレワークができない場合も目立つ。このためコロナ禍で出社を余儀なくされ、収入のために感染リスクを冒して通勤する人もいる。

 困窮する人が増える一方で、資産づくりには追い風が吹いた。その代表例が、株式投資だ。日経平均株価は3月19日に1万6552円まで落ち込んだ後、6月には2万2千円台半ばまで値を戻している。

 証券会社の株式ディーラーなどを経て、銘柄分析を手がけるこころトレード研究所所長の坂本慎太郎さんは「企業の業績は全体的に悪化していますが、日米欧がそろって金融緩和策を拡大したことで株式市場にお金が流れ込んでいます」と話す。

「今回の“戻り相場”では、とくにバイオ・医薬やインターネット関連銘柄に投資した人の恩恵が大きかったようです。製菓店や弁当店向けに食材や資材を提供するcotta(コッタ)や、スマホ向けの電子コミック配信サービスを手がけるビーグリー、インフォコムなどが注目された」

 コロナショックを機に、ネット証券を中心に株式投資を始めた人が急増した。楽天証券は2月の新規口座開設数が初めて10万件に達し、3、4月も順調に伸びたという。個人投資家は“逆張り”の姿勢をとる人が多いとされる。下落時に安い株価で買いたい人がこぞって参入した。ネット証券各社は少額投資非課税制度(NISA)の口座開設数も増えた。

 投資する金がある人は上昇相場に乗って、さらに資産を大きくできる。その余裕すらない人との格差が、ますます開いてしまう。

 所得の格差は、健康にも影を落とす。前出の斎藤さんは「米国では低所得層ほどコロナは重症化しやすいという結果が報告されています。日本にも当てはまるかもしれません」と話す。

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