安倍晋三首相 (c)朝日新聞社
安倍晋三首相 (c)朝日新聞社
(左から)吉村洋文大阪府知事、鈴木直道北海道知事  (c)朝日新聞社
(左から)吉村洋文大阪府知事、鈴木直道北海道知事  (c)朝日新聞社

 人類がこれまで体験したことのない危機となった新型コロナウイルスの感染爆発。そのインパクトは社会や文化のあり方そのものを変えようとしている。その変化は、政治の世界にも及びそうだ。“アフターコロナ”の政界で主導権を握るのは、誰になるのか。

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「今の政権中枢は日本で何が起きているのか理解できていない人ばかり。だからコロナ対策を何度も間違う。このままでは自民党は次の選挙で痛い目に遭う」

 ある自民党中堅議員はこう吐き捨てた。緊急事態宣言が延長され、ウイルスとの闘いは「長期戦」に突入。迷走する安倍晋三首相への信頼が揺らいでいる。

「飲食店などの利用自粛を要請しながら休業補償はしないと政府がアナウンスしたことで、自粛が徹底されず感染拡大を招いた。目先のカネを惜しんだことで収束が見通せない状況を招き、経済全体へのダメージがより大きくなってしまった」(自民党議員)

 トップの機能不全に業を煮やしたのか、党内の動きも活発化している。5月1日には自民党若手有志の議員連盟「日本の未来を考える勉強会」が独自にまとめた100兆円規模の経済対策案を発表。会長の安藤裕衆院議員は「一社たりとも倒産させない」と訴えた。

 これに、国民民主党の玉木雄一郎代表が「(自民党で)できないなら、集団離党してわれわれと連携しませんかと呼びかけたい」と呼応。れいわ新選組の山本太郎代表もツイッターで安藤氏を「まともな主張をする国会議員」と持ち上げた。

 3人はいずれも消費税減税派で、与野党の議員が接近して、対策が後手に回る首相にプレッシャーをかける構図。「政高党低」が続いた安倍政権下では長らく見られなかった光景だ。

 来年9月に3期目の総裁任期を終える安倍首相。一時は「総裁4選」を予想する声もあったが、コロナ対策で支持率が急落する中、潮目が変わってきた。

「来夏に五輪ができる保証もなく、念願の憲法改正もコロナ対応で進みそうもない。功績を残す場がなくなり、安倍首相自身、引き際を考えているという話を聞くね。最近も密かに派閥OBの重鎮と会って進退について助言を得たそうだ。若手からも『(安倍政権は)長くても来年で終わりだから』という声があがっている」(自民党幹部)

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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秦正理

秦正理

ニュース週刊誌「AERA」記者。増刊「甲子園」の編集を週刊朝日時代から長年担当中。高校野球、バスケットボール、五輪など、スポーツを中心に増刊の編集にも携わっています。

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