「これまでは何かあれば、衆院解散して自民党が勝利さえすれば、よかった。だが、コロナの渦中で解散カードは使えない。今、強引に解散すると下手すれば、政権交代になってしまう。総裁派閥『清和会』内でも安倍さんが退任した時、どういうポジションについてもらうかなどの議論がチラホラ出ています」(前出の自民党幹部)

 党内ではポスト安倍を巡る綱引きが熾烈になっているという。

「清和会は退陣後、キングメーカーという座にいてもらうことがベストで、安倍さんに後継指名をしてもらいたいと思っている。それが無理でも、安倍さんと麻生(太郎財務相)さんがタッグを組めば、数は確保できるので、閣僚ポストなど思ったような政局運営ができる。安倍さんの心境は、石破(茂)氏以外でコントロールができる人物なら誰でもいいという感じじゃないか」(同前)

 コロナ対策に追われ、延期になった中国の習近平・国家主席の国賓来日や東京五輪の話題を持ち出すことすらなかなかできない状態が続いているという。

「なんとか東京五輪はやりたいな」と側近につぶやいたという安倍首相。「黄昏」時が迫っているようだ。(本誌取材班)

※週刊朝日オンライン限定記事