該当するのは株式投資家だけではない。昨年は、ここ数年低調だった毎月分配型の株式投資信託が大きく純資産を伸ばした。年金の上乗せに毎月分配型や隔月分配型の株式投信を利用している人なら、これらの分配金から源泉徴収された税金も還付の対象になる。

 写真の申告書の記入例を見てみよう。例えば、都内在住で年金収入2百万円の70代の男性(朝日一郎さん・仮名)が毎月分配型の株式投信で年間60万円の分配金を受け取っていたとすると、13万円以上が還付されることもある。妻(朝日陽子さん・仮名)は専業主婦で男性と同年代だと仮定。

 前出の山本氏は、「株式の配当なら、申告することで所得税と住民税を合わせて12・8%の配当控除(課税所得1千万円以下の人が対象)が受けられるので、さらにお得」と助言する。

 これに対し、株式投信の配当控除は最大でも株式の半分の6・4%。昨年人気だった毎月分配型は、外国株式や債券の組み入れ比率が高く、配当控除が適用されないものもある。しかし、前述のようなケースでは、配当控除を抜きにしても「申告して総合課税」が有利なことに変わりはない。

 気になるのは、申告によって所得が増え、国民健康保険や高齢者医療制度の保険料が上がってしまうことだ。住民税非課税世帯で保険料減免などの恩恵を受けている人なら、今の優遇措置を手放したくないと考えるかもしれない。

 そうした人には合法的な“裏技”がある。

 2018年から、配当などの申告については所得税と住民税とで異なる課税方式を選べるようになっており、「所得税は総合課税+住民税は申告不要」という組み合わせを選択すればいい。住民税を申告不要にすることで、住民税の課税所得を基に計算される国保の保険料などに影響を与えずに済む。

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自粛期間中に必要な書類を用意しよう