この方法を選ぶ場合は、管轄の税務署に所得税の申告、市区町村役場に住民税の(申告不要の)申告を行う必要がある。所得税の還付申告は最長で2024年12月31日まで受け付けてもらえるが、「住民税にこの申告内容を反映させるには、例年だと6月上旬に届く住民税決定通知書の送付の前日までに提出しなければならない」(山本氏)。外出自粛期間中に必要な書類を用意して記入できる部分は記入しておき、自粛が解けたら早めに手続きをしよう。

 所得税の申告書作成に必要なのは、税務署などで配布されている申告書と、「公的年金等の源泉徴収票」、「特定口座年間取引報告書」または配当や分配金の「支払調書」、生命保険や地震保険の「保険料控除証明書」など(これらのデータは管轄の税務署が把握しているので所得税の申告書への添付は不要)。マイナンバーの記入や、それに伴う本人確認書類の提出も義務付けられている。申告書の記入法については、先の申告書記入例を参考にしてほしい。郵送による提出はいまも受け付けているが、税務署に出向く場合は、自粛期間終了後に電話での事前予約が必要になる。

 住民税の申告書は市区町村の担当部署から取り寄せる。市区町村によって書式が異なるため、よく分からなければ、自粛の解除を待って窓口に相談したい。提出の際には所得税の申告書の控えと、前述の特定口座年間取引報告書、支払調書のコピーも添付する。

 活動が制限されるいまなら、こうした申告の手続きもゆとりを持って取り組めるはずだ。ミスのないよう入念に準備して、納め過ぎた税金を取り戻そう。

 申告書はこう書く!

〇申告書Bを用意しよう。
「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」と目立つところに書く。

〇公的年金等の源泉徴収票から転記するところは、
・第一表 キ・10
・第二表 所得の内訳(雑所得)、所得から差し引かれる金額に関する事項(社会保険料控除)

〇特定口座年間取引報告書や支払調書から転記するところは、
・第一表 オ
・第二表 所得の内訳(配当所得、譲渡所得など)

〇保険料控除証明書から転記するところは、
第一表 10~13
第二表 所得から差し引かれる金額に関する事項(生命保険料控除、地震保険料控除)

〇主な項目別の注意点
5 借り入れをして投資している場合はオからその利子分をマイナス。借り入れがなければオの金額をそのまま記載

7 キから公的年金等控除(65歳未満70万円、65歳以上120万円)をマイナスした金額を記入

14~20 該当する控除があるところに記入。専業主婦の妻の配偶者控除は70歳未満が最大38万円、70歳以上は最大48万円。全員が該当する基礎控除は38万円

28 株式の配当は配当金額の10%、株式投信の配当は別表を参照

44 年金と配当・譲渡益から源泉徴収された税金の合計額を記入
(ライター・森田聡子)

※週刊朝日オンライン限定記事