室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中
室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中
イラスト/小田原ドラゴン
イラスト/小田原ドラゴン

 作家・室井佑月氏は、安倍首相自身の“自粛”について批判する。

【この記事のイラストはこちら】

*  *  *

 なにを考えているんだか? いや、逆だな。なにも考えていないように感じる。

 4月12日、安倍首相が、星野源さんの「うちで踊ろう」という曲をご自身のSNSにアップした。

 画面半分が星野さんの歌っている動画で、もう半分は家でくつろぐ安倍首相の動画。シャツにパンツ姿の軽装の安倍首相が、ソファに座って、犬をなでたり、飲み物を飲んだり、本を読んだり、テレビをザッピングしていたりする。

 そして、Twitterには安倍首相のこんな言葉が。

「友達と会えない。飲み会もできない。ただ、皆さんのこうした行動によって、多くの命が確実に救われています。そして、今この瞬間も、過酷を極める現場で奮闘して下さっている、医療従事者の皆さんの負担の軽減につながります。(後略)」

 はぁーい? そりゃ、現場で苦労している医療従事者の方々には、感謝してますがな。しかしですよ、国会議員、しかもこの国のトップであるなら、今現場で頑張っている医療従事者よりも、はるかに奮闘せねばいかん場面なんだと思うけど違うか?

 だいたい、ほんとうにそう感じているなら、やることはいっぱいあるだろ。

 新型コロナウイルスの感染が急速に広がって、医療機関の病床が逼迫(ひっぱく)している。さらに感染が広がることを考えて、ホテルなどをたくさん借り上げておくとか。

 休む暇もなく現場で頑張っている人が少しでも気分良く働けるよう、高額なお手当をつけるとか。

 てか、感染の恐怖に怯(おび)えながら働いている人、休業を要請され生活が苦しくなってる人、すでに感染し辛い思いをしてる人だっているわけだ。国民みんなが安心して家にいられるよう、ケチってないですばやく現金を給付したらいいじゃん。

 政治家って、しかもそのトップである首相って、国民の命と生活を守る立場だろう。それが大前提だから普段、威張っているのも許されているんだろ。いっとくけど前述したこと、すべて安倍首相が判断を下さないと、どうにもならないことばかりじゃ。

著者プロフィールを見る
室井佑月

室井佑月

室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

室井佑月の記事一覧はこちら
次のページ