ここ数日間、私は毎日のように行政に出す申請書類を書いている。私の会社は昨年11月に百貨店に出店をはじめた。百貨店は何の補償もなく休業することになるが、社員への給料は支払わねばならない。家賃は当然のようにのしかかるが、他国のように申請して数日で振り込まれるような類の助成金は一切ない。書類は複雑で膨大、しかも審査に時間がかかると言われた。

 同じアジアなのに、日本にいると、ここがニューヨークの一部にあるような気分にさせられる。中国と隣接しているというのに、台湾や韓国と危機感を共有せず、韓国批判に興じたり、「日本は違う。3月までは抑え込めていた」と根拠ないことをどや顔で言う人が、けっこういたりして怖い。抑え込めていたら、今こうなってないから。

 テレビでは9割9分オジサンたちだけで、重要なことが決まっていく様がみえる。弱者のいない強者の傲慢な政治。ずれてるし、遅い。希望はどこだ。

週刊朝日  2020年4月24日号

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北原みのり

北原みのり

北原みのり(きたはら・みのり)/1970年生まれ。女性のためのセクシュアルグッズショップ「ラブピースクラブ」、シスターフッド出版社「アジュマブックス」の代表

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