「COPDを診断されている人は、感染して肺炎になると一気に悪化するので、そういうことを含めて気をつける。感染しないように注意すべきです」(同前)

 志村さんも過去、COPDを患い、禁煙したという情報もある。

「志村さんが受けたECMOは肺を休める治療。ECMOは、肺に変わって血液内に酸素を供給し、二酸化炭素を除去する装置。首や足の付け根から血管内に挿入したチューブで血液を体外に出し、装置のなかでガス交換を行ってから、体の中に戻すが、肺の力が弱っていれば、ECMOで肺を休ませても回復は難しい」(医療関係者)

 さらに有名人は一般人より感染リスクが高いという。医療ガバナンス研究所理事長の上昌広医師は接触者が多いことを指摘する。

 テレビ局ではタレントやキャスターに加え、カメラマン、ディレクター、音響など、さまざまな職種の人間が出入りをしている。屋外でファンからサインを求められることもある。

「新型コロナウイルスの特徴の一つは『無症状』。陽性者に症状が出にくく、感染源がわかりにくい。接触人数が多い有名人ほど罹患率は高まるとみていいでしょう」

 志村さんは高齢だが、「感染のしやすさに老いはあまり関係ありません。それよりも、日々の仕事で不特定多数の方と接していることが、感染に大きく影響しているものと思われます」。

 芸能評論家の三杉武さんは、「タレント」という仕事の特殊性も指摘する。

「番組収録など芸能人の仕事は一回一回が勝負。長期休むと、誰かに仕事を取って代わられてしまう可能性があります。そのため多少体調が悪くても、無理をして現場に向かってしまうタレントは少なくありません。事務所に言われてというより、個々人の自主性が、結果的には感染リスクを高めていると考えられます。しかし、あまりにも突然の死で驚きました。芸能界で大きな影響が出るでしょう」

 日本の「喜劇王」として長らく芸能界に君臨した志村さん。あの名セリフ「だいじょうぶだぁ」が2度と聞けなくなってしまった。合掌……。(本誌・松岡瑛理、山内リカ)

※週刊朝日オンライン限定記事